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社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!健康保険法

R4-172

R4.2.10 入院時食事療養費

 入院の場合、診察や手術などは「療養の給付」として現物給付が行われます。そして入院時の食事についても現物給付が行われます。

 今日は、入院時の食事がテーマです。

 

 診察や手術については、療養に要した費用の原則100分の30を一部負担金として本人が負担し、残りが療養の給付として健康保険から現物給付されます。

一部負担金

療養の給付

 

 食事については、食費の一部を「食事療養標準負担額」として本人が負担し、残りが「入院時食事療養費」として健康保険から現物給付されます。

食事療養標準負担額

入院時食事療養費

 

 では、「入院時食事療養費」を条文で確認しましょう。

第85条 (入院時食事療養費)

 被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等である病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。

 「療養の給付」と併せて受けた食事療養に要した費用の部分がポイントです。入院時食事療養費は療養の給付とセットになります。

 また、「特定長期入院被保険者」は、入院時の食事は「入院時生活療養費」として給付が行われますので、入院時食事療養費の対象から除かれています。

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 被保険者(特定長期入院被保険者を除く。以下本肢において同じ。)が保険医療機関である病院又は診療所から食事療養を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該病院又は診療所に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり当該病院又は診療所に支払うことができ、この支払があったときは、被保険者に対し入院時食事療養費の支給があったものとみなされる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 本当なら、被保険者本人が食事療養に要した費用を病院に支払い、そして入院時食事療養費は、保険者から被保険者に支給すべきものです。

 しかし、実際は、入院時食療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度で、被保険者に代わって保険者から病院等に支払う方式をとっています。そして、この支払があったときは、被保険者に対し入院時食事療養費の支給があったものとみなされ、結果として現物給付になる、という仕組みです。

(法第85条第5項、第6項)

 

 

次に、入院時食事療養費の額を確認しましょう。

第85条

② 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法に規定する特定介護保険施設等をいう。)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。

③ 厚生労働大臣は、②の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

 

★入院時食事療養費の計算式は以下の通りです。

入院時食事療養費の額 = 

 厚生労働大臣が定める食事療養の費用の額* - 食事療養標準負担額 

   *厚生労働大臣が定める額より実費の方が少ない場合は実費

 

では、過去問をどうぞ!

②【H23年出題】

 入院時食事療養費の額は、その食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して、中央社会保険医療協議会が定める基準により算定した費用の額(その額が現にその食事療養に要した費用の額を超えるときは、その現に食事療養に要した費用の額)から、食事療養標準負担額を控除した額とする。

 

 

③【H27年出題】(改正による修正あり)

 入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額は、原則として、1食につき460円とされているが、被保険者及び全ての被扶養者が市区町村民税非課税であり、かつ、所得が一定基準に満たないことについて保険者の認定を受けた高齢受給者については、1食につき100円とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 ×

中央社会保険医療協議会が定める基準ではなく、「厚生労働大臣」が定める基準です。

 

 

③【H27年出題】(改正による修正あり) 〇

 食事療養標準負担額は、平均的な家計の食費の状況、特定介護保険施設等の食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して、厚生労働大臣が定めることになっています。

 食事療養標準負担額は、原則として、1食につき460円です。内容は、食材費相当額プラス調理費相当額です。

 しかし、「所得の状況」その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に額が定められていて、問題文のような「住民税非課税世帯に属しかつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者」は、1食につき100円となっています。

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