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社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!国民年金法

R4-176

R4.2.14 遺族基礎年金の失権(その2 それぞれ特有の事由)

 前回は、配偶者、子共通の失権事由がテーマでしたが、今回は、配偶者、子それぞれ特有の失権事由です。

 では、条文を見てみましょう。

第40条 

② 配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、配偶者、子共通の失権事由の規定によって消滅するほか、子が1人であるときはその子が、子が2人以上であるときは同時に又は時を異にしてその全ての子が加算額の減額改定事由のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する

③ の有する遺族基礎年金の受給権は、配偶者、子共通の失権事由の規定によって消滅するほか、子が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。

1 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき。

2 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く

3 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。

4 20歳に達したとき。

 

②は配偶者特有の失権事由です。

配偶者の遺族基礎年金は子があることが条件で、必ず子の加算額がつきます。  

加算事由に該当する子がいなくなった場合は、遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 

③は子特有の失権事由です。

・18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了

  →失権します。

   ただし、障害状態にある場合は失権しません。

・障害状態でなくなったとき

  →失権します。

   ただし、障害状態でなくなっても18歳に達した日以後の最初の3月31日までは、失権しません。

・20歳に達したとき

  →失権します。

 

 

では、過去問をどうぞ

①【H27年出題】  

 子の有する遺族基礎年金の受給権は、当該子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに障害等級に該当する障害の状態にあった場合は、その後、当該障害の状態に該当しなくなっても、20歳に達するまで消滅しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×  

 18歳の年度末に障害の状態にあった場合で、その後、20歳になる前に障害の状態に該当しなくなった場合は、そこで遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 なお、18歳の年度末に障害の状態にあって、障害の状態のまま20歳になった場合は、20歳に達したときに遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 

 

では、次の過去問をどうぞ!

②【H19年出題】(改正による修正あり)

 配偶者に支給する遺族基礎年金は、加算事由に該当する子が1人のときは、その子が配偶者以外の養子となったときに消滅するが、その子が、直系血族又は直系姻族の養子になったときはこの限りではない。

 

 

③【H28年出題】

 被保険者、配偶者及び当該夫婦の実子が1人いる世帯で、被保険者が死亡し配偶者及び子に遺族基礎年金の受給権が発生した場合、その子が直系血族又は直系姻族の養子となったときには、子の有する遺族基礎年金の受給権は消滅しないが、配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H19年出題】(改正による修正あり) ×

 「直系血族又は直系姻族以外の」養子になった場合、遺族基礎年金の受給権は消滅します。しかし、「直系血族又は直系姻族の養子」になった場合は失権しません。

 例えば、被保険者である夫が死亡し、妻と子(1人)に遺族基礎年金の受給権が発生し、その子が「直系血族又は直系姻族の養子になった」場合を考えてみます。

 子が「直系血族又は直系姻族の養子」になったとしても、子の受給権は消滅しません。

 では、妻の受給権はどうでしょうか?

 前々回に、「配偶者の遺族基礎年金の減額改定」の条文を読みました。

 減額事由の中に、「子が配偶者以外の者の養子となったとき」という規定があったのを思い出してください。「配偶者以外の者」の部分がポイントです。

 子から見ると「直系血族又は直系姻族の養子」になっても失権事由にはなりませんが、配偶者から見ると、子が「配偶者以外の者の養子」となるので、減額事由に該当します。

 1人だけの子が減額事由である「配偶者以外の者の養子」となった場合は、配偶者の遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 問題文の「加算事由に該当する子が1人のときは、その子が配偶者以外の養子となったときに消滅する」の部分は正しいですが、「その子が、直系血族又は直系姻族の養子になったときはこの限りではない」の部分が誤りです。子の養子縁組が、直系血族又は直系姻族とだったとしても、配偶者の遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 

 

③【H28年出題】 〇

②の解説と同じケースの問題です。 

 

・ 配偶者と1人の子に遺族基礎年金の受給権が発生

    ↓

・ その子が直系血族又は直系姻族の養子となった

    ↓   

・ 子の有する遺族基礎年金の受給権は消滅しない

    ↓

・ しかし、配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は消滅する

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