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社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!国民年金法

R4-177

R4.2.15 遺族基礎年金の支給停止(その1 労基法との調整)

 前回までは遺族基礎年金の「失権」についてお話ししました。

 今回からは「支給停止」のお話です。

 

 「失権」とは、受給権が消滅することです。例えば、婚姻した場合は、遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後離婚したとしても、受給権は復活しません。

 「支給停止」とは、何かの事由で年金がストップすることです。支給停止事由がなくなれば、年金は再開されます。

 

 今回は「支給停止」の1回目です。

 

 では条文をどうぞ。

第41条 (支給停止)

 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。

 業務上の事由で死亡し、労働基準法の遺族補償が行われる場合は、遺族基礎年金は6年間支給が停止されます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H12年出題】

 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働者災害補償保険法の規定による遺族補償が行われるべきであるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。

 

 

②【H20年出題】

 労働者災害補償保険法による遺族補償年金が支給されるときは、遺族基礎年金は全額が支給停止される。

 

 

③【H26年出題】

 遺族基礎年金の受給権者が、同一の支給事由により労災保険法の規定による遺族補償年金の支給を受けることができる場合、遺族基礎年金は支給停止されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H12年出題】 ×

 「労働者災害補償保険法の規定による遺族補償」ではなく、「労働基準法の規定による遺族補償」が行われるべきであるときは、遺族基礎年金は、死亡日から6年間、その支給が停止されます。

 

ポイント!

「労働基準法」と「労働者災害補償保険法」の違い

・労働基準法には、「災害補償」の規定があり、労働者の業務上の傷病等については、使用者に補償責任を負わせています。

 「労働基準法の規定による遺族補償」は、労働者が業務上死亡した場合に、使用者が補償すべきものです。

 

・しかし、実際に、使用者が全ての補償を行うのは難しいため、労働基準法の災害補償義務を代行する保険が「労働者災害補償保険法」です。

 保険料は、事業主が全額負担し、労働者の業務上の傷病等については、労災保険法から保険給付が行われます。

 

 

②【H20年出題】 ×

 「労働者災害補償保険法」から「遺族補償年金」が支給されるときは、遺族基礎年金の支給は停止されません。労災保険法の遺族補償年金が減額されます。

 

ポイント!

 国民年金・厚生年金保険の年金は、業務上外関係なく支給されます。例えば、業務上の死亡の場合は、労災保険の年金も支給されますし、国民年金・厚生年金保険からも年金が支給されます。

 「同一の事由」で労災保険の年金と国民年金・厚生年金保険から年金が支給される場合は、調整のため労災保険の年金が減額されます。国民年金・厚生年金保険の年金は支給停止されません。

 労災保険の保険料は全額事業主負担ですが、国民年金・厚生年金保険は、被保険者本人が保険料を負担しているためです。

(労災保険法別表第1)

 

③【H26年出題】 〇

 ②の問題と同じです。 

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