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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-192 

R4.3.2 1年変形/対象期間の労働日と労働日ごとの労働時間

1年単位の変形労働時間制を導入する際の「労使協定」には、対象期間の「労働日と労働日ごとの労働時間」を定めなければなりません。

 

 では、条文を読んでみましょう。

32条の4 (1年単位の変形労働時間制)

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

2 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする。)

3 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)

4 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間

5 その他厚生労働省令で定める事項(有効期間の定め)

 

 今回は、第4号の「対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間」の部分に注目します。

 1年単位の変形労働時間制は、対象期間を平均して1週間40時間を超えないことが条件です。前回は、そのための所定労働時間の総枠の計算についてお話ししました。

 そして、その総枠の範囲内で、対象期間内の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を設定する必要があります。

 例えば、対象期間を1年としたならば、1年間全体の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を労使協定締結時に特定しておかなければなりません。

 

 しかし、全体の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」をあらかじめ特定できない場合の例外が()内の部分です。

(  )内の内容

☆対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する

・「最初の期間(対象期間の初日の属する期間)」

→ 「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を特定する

・「最初の期間を除く各期間」

→ 「労働日数」と「総労働時間」を定める

 

 例えば、対象期間が4月1日から1年間だとすると、対象期間を1か月ごとに区分することにより、労使協定締結時は以下のような定めが可能です。

①最初の期間

・・・

4月1日~

4月30

51日~

531

61日~

630

71日~

731

・・・

・労働日

・労働日ごとの

労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・・・

 

 

 ②以降の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」は後から特定しなければなりませんが、その際の手続きは以下の通りです。

 条文を読んでみましょう。

32条の4、則12条の4

② 使用者は、労使協定で区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより(書面により)、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

  

☆最初の期間を除く各期間の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」の特定は、

・各期間の初日の少なくとも30日前

・過半数で組織する労働組合か労働者の過半数代表者の同意を得て

・書面により

行うことになります。

 例えば、上の図でしたら、②の期間は「331日までに」、③の期間は「51日までに」、労働日と労働日ごとの労働時間を特定する必要があります。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、110時間、152時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。

 

 

②【H18年出題】

 労働基準法第32条の4第1項に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合おいて、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとしたときは、使用者は、当該区分による各期間のうち最初の期間における労働日と当該労働日ごとの労働時間を特定し、当該最初の期間以外の期間における労働日数と総労働時間を定め、当該最初の期間以外の各期間の初日の少なくとも30日前までに、個々の対象労働者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H22年出題】 ×

1年単位の変形労働時間制については、原則として、対象期間中の労働日と各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定する必要があります。

H18年出題】 ×

 「個々の対象労働者」ではなく、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」の同意を得て定めます。 

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