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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-230 

R4.4.9 平均賃金から除外する賃金

 前回は、「分母と分子の両方」から控除する期間を確認しました。

 今回は、「分子の賃金総額」からのみ除外される賃金をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

12条第4項、5項 

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

則第2条 

① 法第12条第5項の規定により、賃金の総額に算入すべきものは、法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものとする。

 

賃金の総額から除外される賃金は、①「臨時に支払われた賃金」、②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」、③「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」です。

①「臨時に支払われた賃金」は、支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定で、かつ非常にまれに発生するものをいいます。例えば、結婚手当、私傷病手当、退職金などが該当します。

(昭22.9.13発基第17号、昭26.12.27基収第385号)

 

②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」は、年2回の賞与等をいいます。

(昭25.4.15基収392号)

 

③「通貨以外のもので支払われた賃金」は現物給与のことです。

 賃金総額に算入される現物給与は、則第2条で定められている「法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のもの」に限られます。それ以外の現物給与は賃金総額に算入されません。

 

過去問をどうぞ!

① 【H24年出題】

 労働基準法に定める「平均賃金」とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいい、年に2回6か月ごとに支給される賞与が当該3か月の期間内に支給されていた場合には、それも算入して計算される。

 

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

 

③【H26年出題】

 ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

① 【H24年出題】 ×

 年に2回6か月ごとに支給される賞与は、「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するので、平均賃金の計算には算入しません。

 

 

②【H27年出題】 ×

 「通勤手当及び家族手当」は、賃金総額に含まれます。

 

 

③【H26年出題】 〇

 労働協約により支給される定期券は、労働基準法第11条に規定する賃金です。また、6か月定期乗車券は、各月の賃金の前払いとして認められます。

(昭33.2.13基発90)

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