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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法

R4-240 

R4.4.19 高齢任意加入被保険者 保険料の負担編

 高齢任意加入被保険者には、「適用事業所に使用される者」と「適用事業所以外の事業所に使用される者」の2種類があります。

 

 「適用事業所以外の事業所に使用される者」は、事業主が保険料の半額を負担することと納付の義務を負うことについて同意を得ることを条件に、資格を取得します。

 一方、「適用事業所に使用される者」は、事業主の同意がなくても資格を取得できます。

 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料負担と納付については、原則として本人の責任になりますので、滞納したときの扱いがポイントになります。

 

 では、条文を読んでみましょう。

附則第4条の3 (適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者)

⑦ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第84条の規定(保険料の源泉控除)は、適用しない。

 ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。

 

⑧ 事業主は、被保険者の同意を得て、将来に向かって同意を撤回することができる。

 

適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者のポイントその1

・保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負う

・事業主が同意をしたとき → 事業主が保険料の半額を負担し、かつ、事業主が保険料を納付する義務を負う

・事業主は将来に向かってその同意を撤回できる(被保険者の同意が必要)

 

では、続きです。

附則第4条の3

③ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が、初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、被保険者とならなかったものとみなす。ただし、事業主の同意がある場合は、この限りでない

 

⑥ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないとき(ただし書に規定する事業主の同意があるときを除く。)は、保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。

 

 

適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者のポイントその2

・初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、納付しないとき

  → 被保険者とならなかったものとみなす

   ※事業主の同意がある場合は、この規定は適用されません

 

・保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないとき

  → 保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。

   ※事業主の同意がある場合は、この規定は適用されません。

ポイント

・「適用事業所以外の事業所に使用される」高齢任意加入被保険者は、保険料の半額負担と納付義務は事業主が負いますので、滞納の問題は生じません。

 しかし、「適用事業所に使用される」高齢任意加入被保険者は、保険料負担と納付義務は本人が負いますので、滞納の場合は資格喪失のペナルティがあります。しかし、事業主の同意がある場合は、責任は事業主にあるため、滞納の問題は生じなくなります。

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】 ※改正による修正あり

 適用事業所に使用される70歳以上の高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとする。ただし、その者の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主ではないものとする)が当該保険料の半額を負担し、かつその被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときはこの限りではない。

 

 

②【H29年出題】

 高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、かつ、当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意すること及びその同意を将来に向かって撤回することができるとされているが、当該被保険者が第4号厚生年金被保険者であるときは、この規定は適用されない。

 

③【H27年出題】 ※改正による修正あり

 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、当該保険料の納期限の日に、その資格を喪失する。なお、当該適用事業所の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主ではないものとする)は、保険料を半額負担し、かつ、その保険料納付義務を負うことについて同意していないものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇 ※改正による修正あり

 まず、「適用事業所に使用される」の部分をチェックしましょう。「適用事業所以外の事業所」の高齢任意加入被保険者には、この規定は適用されません。

 また、後半の、「事業主の同意」の部分は、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主には適用されません。

(附則第4条の3第10項)

 

 

②【H29年出題】 ×

 この規定が適用されないのは、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主です。

(附則第4条の3第10項)

 

 

③【H27年出題】  ×※改正による修正あり

 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、「保険料の納期限の属する月の前月の末日」に資格を喪失します。

 例えば、4月分の保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、保険料の納期限(5月末日)の前月の末日(430日)に資格を喪失します。

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