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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-242 

R4.4.21 割増賃金の計算の基礎に算入しない賃金

 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合、使用者には割増賃金を支払う義務があります。

 例えば、時間外労働の場合は、1時間当たりの賃金×1.25で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 今回のテーマは、割増賃金の計算の基礎になる1時間当たりの賃金の計算に算入しない賃金です。

 

条文を読んでみましょう。

37条 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

⑤ 割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない

則第21条 

 法第37条第5項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。

1 別居手当

2 子女教育手当

3 住宅手当

4 臨時に支払われた賃金

5 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

1時間当たりの賃金は、手当も含めて計算します。しかし、「家族手当」、「通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「住宅手当」、「臨時に支払われた賃金」、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」の7つの手当などは計算に入れません。

 家族手当は「家族の有無」、通勤手当は「交通機関の運賃」で決まり、労働とは関係ないからです。

 また、賞与など(「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当する)も計算に入れません。

 なお、覚え方は、「か つ べ し ん 一 住宅」です。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法の第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。

  

②【H23年出題】

 労働基準法第37条に定める割増賃金の基礎となる賃金(算定基礎賃金)はいわゆる通常の賃金であり、家族手当は算定基礎賃金に含めないことが原則であるから、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含める必要はない。

  

③【H19年出題】

 労働基準法第37条第5項及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には家族手当、住宅手当等は算入されないこととされており、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当は、同規則第21条でいう住宅手当に該当し、同法第37条の割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇

 「通勤手当」は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しません。

 

 

②【H23年出題】 ×

 「家族手当」は算定基礎賃金に含めないことが原則です。

 しかし、例えば、家族がいない人にも支払われているとか、その家族数に関係なく一律に支給されている場合は、「家族手当」とはみなされず、割増賃金の計算に入れなければなりません。

(昭22.11.5基発231号)

 

 

③【H19年出題】 ×

 問題文の住宅手当は、施行規則第21条でいう住宅手当に該当せず、割増賃金の計算の基礎となる賃金に「算入されます」。

 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、則第21条でいう住宅手当に当たりません。ですので、割増賃金の計算に入ります。

H11.3.31基発170号)

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