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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-243 

R4.4.22 割増賃金の算定方式

 割増賃金は、1時間当たりの単価×割増率で計算します。

 今回は、1時間当たりの単価の出し方がテーマです。

 計算のルールを条文で読んでみましょう。

則第19条 

 法第37条第1項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの労働時間数を乗じた金額とする。

1 時間によって定められた賃金については、その金額

2 によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額

3 によって定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額

4 によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額

5 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

6 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

7 労働者の受ける賃金が前各号の2以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によってそれぞれ算定した金額の合計額

 

 例えば、月給制の場合は、通常の労働時間1時間当たりの賃金額は、『月ぎめの賃金÷月の所定労働時間数』で計算します。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H15年出題】

 労働基準法第37条は、使用者が第33条又は第36条第1項の規定により労働時間を延長した場合においては、その時間の労働については、一定の方法により計算した割増賃金を支払わなければならない旨規定しているが、これは当然に通常の労働時間に対する賃金を支払うべきことを前提とするものであるから、月給制により賃金が支払われる場合であっても、当該時間外労働については、その労働時間に対する通常の賃金を支払わなければならない。

 

 

②【H28年出題】

 労働基準法第37条に定める時間外、休日及び深夜の割増賃金を計算するについて、労働基準法施行規則第19条に定める割増賃金の基礎となる賃金の定めに従えば、通常の労働時間1時間当たりの賃金額を求める計算式のうち、正しいものはどれか。

 なお、当該労働者の労働条件は次のとおりとする。

  賃金:基本給のみ  月額300,000

  年間所定労働日数:240

  計算の基礎となる月の所定労働日数:21

  計算の対象となる月の暦日数:30

  所定労働時間:午前9時から午後5時まで

  休憩時間:正午から1時間

A 300,000÷(21×7)

B 300,000÷(21×8)

C 300,000÷(30÷×40)

D 300,000÷(240×÷12)

E 300,000÷(365÷×40÷12)

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H15年出題】 〇

 月給制で賃金が支払われる場合でも、時間外労働は、その労働時間に対する通常の賃金1.00が必要ですので、割増賃金は「通常の労働時間1時間当たりの賃金額×1.25」で計算します。

 

 

②【H28年出題】 D

 月給制の場合は、その金額を原則として月の所定労働時間数で除します。しかし、「月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数」で除します。

 問題文の場合は、月によって所定労働時間数が異なりますので、年間平均1か月の所定労働時間数で除します。

 年間平均1か月の所定労働時間数は、年間所定労働日数×1日の所定労働時間数÷12か月で計算します。問題文の場合は、240日×7時間÷12か月ですので、計算式は300,000÷(240×÷12)です。

 

 

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③【H16年出題】

 その賃金が完全な出来高払制その他の請負制によって定められている労働者については、その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間における総所定労働時間数で除した金額を基礎として、割増賃金の計算の基礎となる通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額を計算する。

 

 

④【H18年出題】 ※改正による修正あり

 賃金が出来高払制その他の請負制によって定められている者が、労働基準法第36条第1項又は第33条の規定によって法定労働時間を超えて労働をした場合、当該法定労働時間を超えて労働をした時間については、使用者は、その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該法定労働時間を超えて労働をした時間数を乗じた金額の25分(1か月60時間を超える時間外労働については、その超えた時間については5割)を支払えば足りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H16年出題】 ×

 出来高払制の場合は、賃金の総額を、当該期間における「総労働時間数」で除した金額を基礎とします。「総所定労働時間数」ではありませんので注意してください。

 

 

④【H18年出題】 〇 ※改正による修正あり

 出来高払制の場合の割増賃金の計算式は、

 「当該期間の出来高払制の賃金の総額」÷「当該期間の総労働時間数」×0.25(又は0.5)、0.35です。

 1.25(又は1.5)、1.35ではなく、0.25(又は0.5)、0.35で差し支えないとされています。

H11.3.31基発168号)

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