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社会保険労務士合格研究室

労災保険法

R4-267 

R4.5.16 遺族補償年金~「生計を維持していた」

 労働者が業務上死亡した場合、一定の遺族に「遺族補償年金」が支給されます。

 

 条文を読んでみましょう。

16条の2

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

 ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること

4 前3号の要件(年齢要件)に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

今日のポイント!

 遺族補償年金を受けることができる遺族の第1条件は、労働者の死亡当時その収入によって「生計を維持していた」ものです。

 今回のテーマは「生計維持」です。

 

「生計維持」の認定については、則第14条の4で次のように定められています。

則第14条の4 (遺族補償給付等に係る生計維持の認定)

 遺族補償年金及び遺族補償一時金(複数事業労働者遺族給付及び遺族給付において準用する場合を含む。)に規定する労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたことの認定は、当該労働者との同居の事実の有無、当該労働者以外の扶養義務者の有無その他必要な事項を基礎として厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。

 

 

②【H17年出題】

 遺族補償年金を受けることができる遺族の要件としての「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことが認められるためには、単に労働者と生計を一にしていただけでは足りず、労働者の収入によって消費生活の大部分を営んでいたことが必要である。

 

 

③【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

 

④【H18年出題】 

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 「妻」以外の者は、労働者の死亡の当時、「年齢要件」又は「障害要件」に該当する必要がありますが、妻は年齢、障害の要件は問われません。妻は「生計を維持していた」場合は、遺族補償年金を受けることができます。

 

 

②【H17年出題】 ×

 「労働者の収入によって消費生活の大部分を営んでいたことが必要」の部分が誤りです。「もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。」とされています。

(昭41.1.31基発第73号)

 

 

③【H28年出題】 ×

 ②と同じ考え方です。

 「労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる」、「いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。」という解釈ですので、労働者と同程度の収入があり、生活費を分担していた妻も、遺族補償年金を受けることができます。

 

 

④【H18年出題】 ×

 「遺族補償給付」には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 「遺族補償年金」は、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ものでなければなりませんが、「遺族補償一時金」は、「生計を維持していない」ものでも対象になり得ます。

(法第16条の7)

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