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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-282 

R4.5.31 労働契約締結時に明示すべき労働条件

 前回の続きです。

 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示することが義務づけられています。

 明示事項には、絶対的明示事項(必ず明示しなければならない事項)と相対的明示事項(制度を設ける場合は明示しなければならない事項)があり、明示すべき労働条件の範囲は、厚生労働省令で定められています。

 

 では、明示すべき労働条件の範囲を確認しましょう。

施行規則第5条 

<絶対的明示事項>

1 労働契約の期間

2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準

(期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る)

3 就業の場所、従事すべき業務

4 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換

5 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給

6 退職(解雇の事由を含む。)

 

<相対的明示事項>

7 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、退職手当の支払の時期

8 臨時に支払われる賃金、賞与等、最低賃金額

9 労働者に負担させるべき食費、作業用品等

10 安全及び衛生

11 職業訓練 

12 災害補償及び業務外の傷病扶助

13 表彰及び制裁

14 休職

 1から6の絶対的明示事項は、必ず明示する義務がありますが、7~14の相対的明示事項については、制度を設けていない場合は、明示義務はありません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R1年出題】

 労働契約の期間に関する事項は、書面等により明示しなければならないが、期間の定めをしない場合においては期間の明示のしようがないので、この場合においては何ら明示しなくてもよい。

 

 

②【H25年出題】  

 使用者は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の際に、労働者に対して、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を、書面の交付により明示しなければならない。

 

 

③【H18年出題】     

 使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

 

 

④【H24年出題】

 使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 「労働契約の期間」については、「期間の定めがある労働契約」の場合は「契約期間」を、「期間の定めのない労働契約」の場合は、「期間の定めのない旨」の明示が必要です。

(平11.1.29基発45号)

 

 

②【H25年出題】 〇

 「期間の定めのある労働契約」で、更新する場合があるものの締結の場合は、更新する場合の基準を明示する義務があります。

 契約更新の判断基準として、契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力・会社の経営状況 ・従事している業務の進捗状況等があります。

(平24.10.26基発10262号)

 

 

③【H18年出題】 ×     

 「所定労働時間を超える労働の有無」は絶対的明示事項ですが、「所定労働日以外の労働の有無」は明示すべき事項には入っていません。

 

 

④【H24年出題】 ×

「表彰に関する事項」は相対的明示事項です。表彰に関する制度を設けている場合は、労働契約を締結する際に明示する必要があります。

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