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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-283 

R4.6.1 労働条件を明示する方法

 労働契約を締結する際に、使用者には労働条件を明示する義務があります。

 明示すべき労働条件の範囲は厚生労働省令で定められていて、前回お話ししたように、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。

 今回は、明示する方法を確認します。

 

 もう一度、法第15条を読んでみましょう。

第15条 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない

 

施行規則第5条

    法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める事項は、絶対的明示事項昇給に関す事項を除く。)とする。

④ 法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、書面の交付とする。

 ただし、当該労働者が次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。

1 ファクシミリを利用してする送信の方法

2 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

 

 

★絶対的明示事項のうち昇給以外は、書面の交付等による明示が義務付けられています。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H24年出題】

 労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。

 

 

②【R3年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、労働者にとって予期せぬ不利益を避けるため、将来就業する可能性のある場所や、将来従事させる可能性のある業務を併せ、網羅的に明示しなければならない。

 

 

③【R2年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 書面で明示しなければならない労働条件について、「当該労働者に適用する部分を明らかにして就業規則を交付すること」は差し支えないとされています。

H11.1.29基発第45号)

 

 

②【R3年出題】 ×

 「雇入れ直後の」就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りる、とされています。しかし、将来の就業場所や従事させる業務を併せ、網羅的に明示することは差し支えありません。

H11.1.29基発第45号)

 

 

③【R2年出題】 〇

 交付すべき書面の内容としては、就業規則と併せて賃金に関する事項がその労働者について確定できるものであればよい、とされています。

 ですので、労働者の採用時に交付される辞令等で、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えありません。この場合、就業規則等が労働者に周知されていることが必須です。

H11.3.31基発168号)

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