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社会保険労務士合格研究室

労働基準法

R4-306

R4.6.24 1週間単位の非定型的変形労働時間制

 例えば、規模の小さい飲食店を思い浮かべてください。

★1週間単位の非定型的変形労働時間制の趣旨

 日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつ、その繁閑が定型的に定まっていない場合に、1週間を単位として、一定の範囲内で、就業規則その他これに準ずるものによりあらかじめ特定することなく、1日の労働時間を10時間まで延長することを認めることにより、労働時間のより効率的な配分を可能とし、全体としての労働時間を短縮しようとするものであること。

(昭63.1.1基発第1号)

 

では、条文を読んでみましょう。

第32条の5 

① 使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業であって、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第32条第2項の規定にかかわらず、1日について10時間まで労働させることができる

② 使用者は、①の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、労使協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

則第12条の5

① 法第32条の5第1項の厚生労働省令で定める事業は、小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業とする。

② 法第32条の51項の厚生労働省令で定める数は、30人とする。

 

ポイント!

1週間の非定型的変形労働時間制が導入できる事業は、規模30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店に限定されています。

労使協定の締結が必要です。(所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。)

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理店若しくは飲食店の事業の事業場、又は、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場、のいずれか1つに該当する事業場であれば採用することができる。

 

 

②【H22年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制については、日ごとの業務の繁閑を予測することが困難な事業に認められる制度であるため、1日の労働時間の上限は定められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用できるのは、小売業、旅館、料理店、飲食店の事業で、「かつ」、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場です。

 事業と規模の両方に該当する必要があります。

 

 

②【H22年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制については、1日の労働時間の上限は「10時間」と定められています。

 また、1週間の所定労働時間は40時間以下で定めなければなりません。特例事業場でも44時間は適用されません。

 

 なお、事前通知については、則第12条の5第3項で以下のように定められています。

 

(原則) 1週間の各日の労働時間の通知は、少なくとも、当該1週間の開始する前に、書面により行わなければならない。

(例外) 緊急でやむを得ない事由がある場合には、使用者は、あらかじめ通知した労働時間を変更しようとする日の前日までに書面により当該労働者に通知することにより、当該あらかじめ通知した労働時間を変更することができる。

 

 原則として、1週間が始まる前に、1週間の各日の労働時間を書面で通知することにより、110時間まで労働させることができます。

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