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社会保険労務士合格研究室

 令和4年択一式を解いてみる(厚生年金保険法)

R5-018

R4.9.15 R4「厚年択一」は解きやすい問題が多かったです。今日は『老齢厚生年金の支給繰下げ』

 令和4年の厚生年金保険法の択一式は、全体的に解きやすかったです。

 テキストの読み込みと過去問対策の大切さが分かる出題でした。

 

 今日は、「老齢厚生年金の支給繰下げ」の問題をみていきます。

 

まず、老齢厚生年金の支給繰下げの条件を令和2年の選択式の問題で確認しましょう。

(復習)では令和2年選択式からどうぞ!

 厚生年金保険法第44条の31項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってその< A >前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(< B >を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の< A >までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日

B 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金

 

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、受給権を取得してから1年待たなければなりません。

 また、「老齢厚生年金の受給権を取得したとき他の年金たる給付の受給権者であったとき」、又は「老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日までの間他の年金たる給付の受給権者となったとき」は、支給繰下げの申出はできません。

他の年金たる給付とは、「他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)」をいいます。

 「老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金」は例外になっているのがポイントです。

 例えば、老齢厚生年金の受給権取得日から1年経過した日までの間に、「老齢基礎年金+付加年金」の受給権があったとしても老齢厚生年金の支給繰下げの申出は可能です。同じく、老齢厚生年金の受給権取得日から1年経過した日までの間に、「障害基礎年金」の受給権があったとしても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。

 

では令和4年の問題をどうぞ!

①【問5-C

680か月で老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った者に対する老齢厚生年金の支給は、当該申出を行った月の翌月から開始される。

 

②【問5-D】 

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合でも、経過的加算として老齢厚生年金に加算された部分は、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出に応じた増額の対象とはならない。

 

③【問5-E】

 令和44月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる上限が70歳から75歳に引き上げられた。ただし、その対象は、同年331日時点で、70歳未満の者あるいは老齢厚生年金の受給権発生日が平成2941日以降の者に限られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【問5-C】 〇

 第44条の33項で、「支給繰下げの申出をした者に対する老齢厚生年金の支給は、第36条第1項の規定にかかわらず、当該申出のあった月の翌月から始めるものとする。」と規定されています。

 680か月で老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った者に対しては、当該申出を行った月の翌月から開始されます。

 

 

②【問5-D】 ×

 「経過的加算」は、支給繰下げの申出に応じた増額の対象となります。

 繰下げ加算額は、(繰下げ対象額+経過的加算額)×増額率で計算します。

(令3条の521項)

 

③【問5-E】 〇

 令和44月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる上限が75歳に引き上げられています。

 繰下げ受給の受給率は、「繰り下げた月数×0.7%」で計算します。10年繰下げた場合、120月×0.7%=84%増額されます。

 ただし、対象になるのは、①「令和4331日時点で70歳未満の者(昭和2742日以降生まれ)」あるいは②「老齢厚生年金の受給権発生日が平成2941日以降の者(老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない)」に限られます。

 ①、②に該当しない場合は、繰下げの申出の上限は70歳です。

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