合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

 令和4年基本問題(徴収法)

R5-024

R4.9.21 R4択一式より『雇用保険暫定任意適用事業』

 労働者を1人でも雇用する事業は、当然に雇用保険の適用事業です。

 しかし、一部の農林水産業は、当分の間、雇用保険の適用は任意となります。

 今日は、令和4年の択一式から、雇用保険暫定任意適用事業を見ていきましょう。

 

 では、条文を読んでみましょう。

<雇用保険法>

5条 (適用事業)

 雇用保険法においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。

附則第2条 (暫定任意適用事業)

 次の各号に掲げる事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)を除く)であって、政令で定めるものは、当分の間、第5条第1項の規定にかかわらず、任意適用事業とする。

1 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

2 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く。)

施行令第2条 

 法附則第2条第1項の政令で定める事業は、同項各号に掲げる事業のうち、常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)とする。

 ★雇用保険の暫定任意適用事業は、民間の個人経営の農林水産の事業で5人未満の労働者を雇用するものです。

 なお、船員を雇用する事業は、原則として強制適用事業となります。

 

<徴収法>

附則第2条 (雇用保険に係る保険関係の成立に関する暫定措置)

① 雇用保険暫定任意適用事業の事業主については、その者が雇用保険の加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する

② 任意加入の申請は、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得なければ行うことができない。

③ 雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときは、任意加入の申請をしなければならない。

④ 雇用保険法第5条第1項の適用事業に該当する事業が雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき任意加入の認可があったものとみなす

 

① 雇用保険暫定任意適用事業の場合、雇用保険に係る保険関係が成立するのは、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日です。※厚生労働大臣の認可の権限は、都道府県労働局長に委任されています。

② 労働者の2分の1以上の同意が必要なのは、労働者にも保険料の負担があるためです。なお、認可があれば、同意しなかった者も含めてその事業に雇用される者全員に雇用保険が適用されます。★「その事業に使用される労働者の2分の1」とは、労働者総数の2分の1以上ではなく、適用除外となる労働者を除いた労働者の2分の1以上の者をいう、とされています。  (行政手引20154

③ 雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときは、任意加入の申請をしなければなりません。

④ 例えば、5人未満の農業の法人が個人経営になったなどのように、強制適用事業から暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に任意加入の認可があったものとみなされます。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

①【問10-A(雇用)】

 雇用保険法第6条に該当する者を含まない4人の労働者を雇用する民間の個人経営による農林水産の事業(船員が雇用される事業を除く。)において、当該事業の労働者のうち2人が雇用保険の加入を希望した場合、事業主は任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に雇用される者全員につき雇用保険に加入することとなっている。

 

 

②【問10-B(雇用)】

 雇用保険の適用事業に該当する事業が、事業内容の変更、使用労働者の減少、経営組織の変更等により、雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に雇用保険の任意加入の認可があったものとみなされ、事業主は雇用保険の任意加入に係る申請書を所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局長に改めて提出することとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【問10-A(雇用)】 〇

 雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときは、任意加入の申請をしなければなりません。雇用される労働者4人の場合は、2人以上が加入を希望した場合となります。

 なお、労災保険の暫定任意の場合は、「過半数」が希望したとき、となります。労働者が4人の場合、過半数は3人以上です。

 

 

②【問10-B(雇用)】 ×

 雇用保険の適用事業に該当する事業が、事業内容の変更、使用労働者の減少、経営組織の変更等により、雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に雇用保険の任意加入の認可があったものとみなされます。法律上当然に認可を受けたとみなされますので、任意加入の認可の手続きを行う必要はありません。後半部分の「事業主は雇用保険の任意加入に係る申請書を・・・」の部分が誤りです。

(行政手引20157

社労士受験のあれこれ