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R5-047
「1か月単位の変形労働時間制」を導入する際は、「労使協定を締結する」、「就業規則その他これに準ずるものに定める」のどちらかが必要です。
労使協定の締結によって1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
今日のテーマは、「労使協定の効力の発生」です。
では、条文を読んでみましょう。
第32条の2(1か月単位の変形労働時間制) ① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法第32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。 ② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。 |
第32条の2第2項により、1か月単位の変形労働時間制の労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
例えば、労使協定で1日10時間と定めた日には10時間まで労働させることができますし、1週52時間と定めた週には52時間まで労働させることができます。
この「労使協定」は、届出によって効力が発生するのでしょうか?それとも締結していれば効力が発生するのでしょうか?
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問7-B】
労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を労使協定を締結することにより採用する場合、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。
【解答】
【問7-B】 ×
1か月単位の変形労働時間制についての労使協定については、「届出」が効力の発生要件となっていません。労使協定が締結されていれば、効力が発生します。
労使協定を届出なくても効力は発生します。しかし、届け出なかった使用者については罰則が適用され、30万円以下の罰金に処せられます。
(参考)労使協定はどのような効力をもつのでしょうか?
労働基準法の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという「免罰効果」をもちます。
労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要です。
(S63.1.1基発1号)
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。
②【H24年出題】
労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。
【解答】
①【R1年出題】 ×
1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)の締結」のどちらかで採用することができます。
就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでも採用することができます。
また、労使協定の締結によって採用する場合は届出が必要ですが、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって」効力が発生するのではなく、締結することによって労使協定の効力が発生します。
②【H24年出題】 〇
労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて発生します。単に同協定を締結したのみでは、効力は発生しませんので注意してください。
第36条の条文を確認しておきましょう。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。 |
「行政官庁に届け出た場合」に注目してください。36協定については、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出て、初めて免罰効果が発生します。
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