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R5-065
健康保険の保険給付は「労災保険法の規定による業務災害」以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して行われます。労災保険からの給付が受けられない場合は、健康保険の給付が受けられます。
なお、労災保険は労働者を保護するための保険ですので、法人の役員としての業務に起因する傷病等については、労災保険からは保険給付が行われません。
しかし、被保険者等が法人の役員である場合は、法人の役員としての業務に起因する負傷等は、健康保険の保険給付でも対象外となっています。
法人の役員の業務上の負傷は、使用者側の責に帰すべきものなので、労使折半の健康保険から保険給付を行うことが適当でないと考えられるからです。
(参考:H25.8.14事務連絡 全国健康保険協会あて厚生労働省保険局保険課通知)
では、条文を読んでみましょう。
第53条の2(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例) 被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。 |
被保険者等(被扶養者も含みます)が法人の役員である場合に、その法人の役員としての業務に起因する負傷等については、原則として保険給付の対象外となります。
ただし例外に注意してください。「被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務で厚生労働省令で定めるもの」は保険給付の対象になります。
ちなみに、厚生労働省令で定めるものは、『厚生労働省令で定める業務は、当該法人における従業員(同条に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとする。』とされています。(則第52条の2)
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問2-A】
被保険者の数が5人以上である適用事業所に使用される法人の役員としての業務(当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるものに限る。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関しては、傷病手当金を含めて健康保険から保険給付が行われる。
【解答】
【問2-A】 ×
法人の役員としての業務(当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるものに限る。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して健康保険から保険給付が行われるのは、被保険者の数が「5人未満」である適用事業所に使用される場合です。
過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務(当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるものに限る。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関しては、傷病手当金を含めて健康保険から保険給付が行われる。
②【H30年出題】
被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者は、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となる場合があるが、当該法人における従業員(健康保険法第53条の2に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとされている。
【解答】
①【H26年出題】 〇
傷病手当金も保険給付の対象になるのがポイントです。
②【H30年出題】 〇
役員の業務内容が、当該法人の従業員が従事する業務と同一であると認められない場合は、健康保険の給付対象にはなりません。
(H25.8.14事務連絡 全国健康保険協会あて厚生労働省保険局保険課通知)
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