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R5-086
年次有給休暇の権利の発生の要件を確認しましょう。
まず、条文を読んでみましょう。
第39条第1項 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。 |
年次有給休暇の権利は、①6か月間継続勤務、②全労働日の8割以上出勤の2つの要件を満たした場合に発生します。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問7-E】
年次有給休暇の権利は、「労基法39条1、2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求をまって始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
【問7-E】 ×
年次有給休暇の権利について最高裁判所の判例では、「労基法39条1、2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではない」とされています。年次有給休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』は不要です。
なお、第39条第5項では、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と規定されています。
ここに出てくる「請求」は休暇の時季にかかる文言で、休暇の時季の指定という意味です。
(S48.3.2白石営林署事件)
では、過去問をどうぞ!
①【H20年出題】
年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。
②【H22年出題】
労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。
③【H24年出題】
労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。
【解答】
①【H20年出題】 〇
年次有給休暇の権利は、所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利です。
(S48.3.2白石営林署事件)
②【H22年出題】 ×
年次有給休暇の成立について、労働者による休暇の請求やこれに対する使用者の承認は不要です。
労働者がその有する休暇の日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは、使用者が時季変更権の行使をしない限り、労働者の時季指定によって年次有給休暇が成立します。
(S48.3.2白石営林署事件)
③【H24年出題】 〇
最高裁判例(S48.3.2白石営林署事件)では、「年次有給休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」とされています。
労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用する場合も、その請求時季が事業の正常な運営を妨げるものでない限り、使用者はこれを付与しなければならない、とされています。
(S24.12.28 基発第1456号)
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