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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法 遺族厚生年金

R5-172

R5.2.15 遺族厚生年金・死亡した者の要件

 遺族厚生年金の「死亡した者」の要件をみていきましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

58条第1項 

 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。

被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。

被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。

 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が 25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

(保険料納付要件)

又はに該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること

・(特例)令和8年4月1日前に死亡した者の死亡については、当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない場合でも保険料納付要件を満たす。ただし、当該死亡に係る者が当該死亡日において65歳未満である場合に限る。 

 

<保険料納付要件について>

・死亡日の前日の保険料納付要件が問われるのは、(被保険者の死亡=在職中の死亡)と(在職中に初診日がある傷病により初診日から5年以内の死亡)の場合です。

は障害厚生年金の裁定時に保険料納付要件を満たしているため、は保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)で25年以上あるため、死亡日の前日の保険料納付要件は問われません。

<短期要件と長期要件>

からを「短期要件」、を「長期要件」といいます。今日は触れませんが、年金額の計算のルールが異なります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

②【R1年出題】

 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。

 

③【H23年出題】

 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。

 

③【R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者であった甲は令和341日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3315日に初診日がある傷病により令和381日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満であっても、令和27月から令和36月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。

 

④【R3年出題】

 老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失後、被保険者であった間に初診日がある傷病で初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者について、「保険料納付要件を満たしていること」が条件です。

 

②【R1年出題】 〇

 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、保険料納付要件は問われません。

 

③【H23年出題】 ×

 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合は、保険料納付要件は問われません。しかし、3級の障害厚生年金の受給権者の死亡については、保険料納付要件を満たすことが必要です。

 

③【R3年出題】 〇

 保険料納付要件の特例は、「令和8年4月1日前に死亡していること」、「死亡日に65歳未満」であること、「死亡日の前日に死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない(=滞納期間がない)こと」です。

 甲の場合、令和和341日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失していますが、在職中の令和3315日に初診日がある傷病で初診日から5年以内の令和381日に死亡しています。

 甲は、原則の保険料納付要件は満たしていませんが、保険料納付要件の特例を満たしていますので、遺族厚生年金の支給対象となります。

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々月

 

死亡

死亡日の属する月の前々月までの1年間(R27月~R36月)

保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない=滞納期間がない

 

 

 

 

④【R3年出題】 〇

 長期要件については、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある事が必要ですが、「合算対象期間」も合算できます。合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合は、要件を満たします。

(法附則第14条)

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