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R5-174
今日は、妊産婦の労働時間の規定をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第66条 ① 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項(1か月単位の変形労働時間制)、第32条の4第1項(1年単位の変形労働時間制)及び第43条の5第1項(1週間単位の非定型的労働時間制)の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。 ② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項(災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合)及び第3項(公務のため臨時の必要がある場合)並びに第36条第1項(36協定による場合)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。 ③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。 |
ポイントは、①②③すべて「妊産婦が請求した場合」が前提になっている点です。
妊産婦でも、体調や環境は一人一人違いますので、妊産婦からの請求があれば、保護が行われます。
① 変形労働時間制(1か月単位、1年単位、1週間単位)については、妊産婦から請求があれば、1週間又は1日の法定労働時間を超える時間は労働させられません。(変形労働時間制そのものを適用できないという意味ではありません。)
② 妊産婦から請求があれば、時間外又は休日に労働させられません。
③ 妊産婦から請求があれば、深夜労働はさせられません。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
使用者は、すべての妊産婦について、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならない。
②【H25年出題】
使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③【R3年出題】
労働基準法第32条又は第40条に定める労働時間の規定は、事業の種類にかかわらず、監督又は管理の地位にある者には適用されないが、当該者が妊産婦であって、前記の労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があった場合は、当該請求のあった規定については適用される。
④【H17年出題】
使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。
【解答】
①【H29年出題】 ×
時間外労働、休日労働又は深夜業が制限されるのは、「妊産婦が請求した場合」です。すべての妊産婦ではありません。請求しない妊産婦については制限されません。
②【H25年出題】 〇
「妊産婦が請求した場合」がポイントです。
③【R3年出題】 ×
監督又は管理の地位にある者には労働時間の規定の適用がありません。そのため、監督又は管理の地位にある妊産婦には、第66条第1項、第2項は適用されませんので、「時間外労働・休日労働をしない」という請求はできません。
④【H17年出題】 ×
第41条に該当する者には、労働時間、休日、休憩の規定は適用されませんが、深夜業の規定は適用されます。
監督又は管理の地位にある妊産婦については、第66条第3項「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」の規定は適用されますので、監督又は管理の地位にある妊産婦から請求があれば、深夜業をさせることはできません。
(昭61.3.20基発第151号)
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