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R5-183
遺族厚生年金の受給権者が「養子」になった場合の受給権が今日のテーマです。
まず、遺族厚生年金の受給権の消滅事由を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第63条第1項 (遺族厚生年金の失権) 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 1 死亡したとき。 2 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。 3 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。 4 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき。 |
2について
・婚姻した場合は遺族厚生年金の受給権は消滅します。事実婚でも同様です。
3について
・直系血族及び直系姻族以外の者の養子(事実上の養子も含む)となった場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅します。直系血族・直系姻族の養子になっても失権しないのがポイントです。
4について
・離縁で、死亡した人との親族関係が終了した場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅します。離縁とは養子縁組の解消です。
※他に、「30歳未満の妻」の失権、「子、孫」の失権、「父母、孫、祖父母」の失権の規定もありますが、今回は省略します。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
遺族厚生年金の受給権は、受給権発生後に直系姻族の養子となった場合であっても、消滅しない。
②【H29年出題】
子の有する遺族厚生年金の受給権は、その子が母と再婚した夫の養子となったときは消滅する。
③【R3年出題】
厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
【解答】
①【H26年出題】 〇
直系姻族の養子となった場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
②【H29年出題】 ×
母と再婚した夫は直系姻族となります。子が母と再婚した夫の養子になっても遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
③【R3年出題】 ×
乙は丙の父の妻ですので、丙からみると乙は直系姻族です。丙が乙の養子になっても丙の遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
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