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社会保険労務士合格研究室

労働基準法 変形労働時間制

R5-197

R5.3.12 1か月単位の変形労働時間制採用のルール

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、1か月以内の期間を平均し1週間の労働時間が40時間(特例事業場の場合は44時間)を超えなければ、特定の週、特定の日に法定労働時間を超えて労働させることができます。

 

1か月単位の変形労働時間制の変形期間は1か月以内にすることが条件です。

1週間単位、10日単位、4週間単位なども可能です。

 変形期間を1か月にした場合で考えてみましょう。

 法定労働時間40時間の事業場で、31日の月なら、1か月の労働時間の総枠は次の式で計算できます。

40時間×31日÷7日 ≒ 177時間

1か月の所定労働時間のトータルが177時間以内なら、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

  

②【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

  

③【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、16時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の110時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、16時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

  

④【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

⑤【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 変形期間を1か月とする場合に、毎月1日から月末までの暦月にするという規定はありません。

 例えば、毎月16日を起算日として、16日~翌月15日という1か月でも可能です。

 

 

②【R1年出題】 ×

 満18歳に満たない者には、原則として変形労働時間制は適用されませんので、その部分については正しいです。

 育児を行う者については、適用除外を請求できる規定がありません。

 なお、以下のような規定はあります。

則第12条の6

 使用者は、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。

 ★変形労働時間制が適用されると、労働時間の長い週や日が出てきます。使用者は、育児を行う者等については、育児等に必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません。

 

66条第1

 使用者は、妊産婦請求した場合においては、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定にかかわらず、1週間又は1日について法定労働時間を超えて労働させてはならない。

★妊産婦が対象の規定です。

 例えば、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合でも、妊産婦から請求があった場合は、1週間または1日について法定労働時間を超えて労働させることはできません。

 

 

③【R1年出題】 〇

1か月単位の変形労働時間制で時間外労働になる部分を確認しましょう。

1日の時間外労働

1日8時間を超える時間を定めた日はその時間

    それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

1週の時間外労働

1週40時間(特例事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、

それ以外の週は1週40時間(特例事業場は44時間)超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)

③変形期間時間外労働

変形期間の法定労働時間総枠(40時間(44時間)×対象期間の暦日数÷7日)

を超えて労働した時間(①又は②で法定時間外労働となる時間を除く。)

 

 問題文のように、所定労働時間が16時間(所定労働時間が18時間以内)の日で、時間外労働になるのは、8時間を超えて労働した時間です。

6時間の日に2時間延長しても労働時間は8時間ですので、1日あたりの時間外労働は発生しません。

 週当たりでみても、2時間延長した日の代わりに同一週内の110時間の日の労働時間を2時間短縮しています。1週間当たりの労働時間は増えていませんので、1週間当たりでも時間外労働は発生しません。

 

 

④【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「労使協定」で採用できます。「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用できます。

 なお、労使協定で採用した場合は、所轄労働基準監督署長に労使協定を届け出る必要があります。しかし、三六協定とは異なり、労使協定の届出によって効力が発生するわけではありません。

 

⑤【R1年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制は、1日の労働時間、1週間の労働時間の限度はありません。 

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