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R5-198
例えば、外回りのセールスや出張のように、事業場の外で働く場合、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、また、使用者による労働時間の算定が困難な場合があります。
「事業場外労働」についてはみなし労働時間制の制度が設けられています。
では、条文を読んでみましょう。
第38条の2 ① 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。 ② ①のただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。 ③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、②の協定を行政官庁に届け出なければならない。 |
みなし労働時間制とは
→ 使用者には、労働者の労働時間を把握し、算定する義務があります。
しかし、事業場外の労働で、使用者の指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合は、実際に労働した時間ではなく、特定された時間労働したとみなすことができる制度です。
ポイント!
事業場外の労働でも、「労働時間の算定」ができる場合は、みなし労働時間は適用されません。
事業場外労働のみなし労働時間の手順
★原則 「所定労働時間」労働したものとみなされます。
※当該業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされます。
★労使協定で「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた場合は、労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。
では、過去問をどうぞ!
①【H18年出題】
労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。
②【R1年出題】
労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。
③【H22年出題】
労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。
【解答】
①【H18年出題】 〇
事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合、原則は、「所定労働時間」労働したものとみなされます。例えば、所定労働時間が7時間の場合は、7時間労働したとみなされます。
しかし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。例えば当該業務の遂行に通常必要とされる時間が8時間の場合は、8時間労働したとみなされます。
★当該業務に関し、労使協定で当該業務の遂行に通常必要とされる時間を定めた場合は、その時間労働したとみなされます。
②【R1年出題】 〇
事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。ただし、労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合は、届出の必要はありません。
(則第24条の2第3項)
③【H22年出題】 ×
在宅勤務でも事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合があります。
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて」(令和3.3.25基発0325第2号/雇均発0325第3号/)を確認しましょう。
↓
事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、使用者の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で業務に従事することとなる場合に活用できる制度である。テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。
テレワークで、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるのは、次の①と②の条件を満たす場合です。
① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと ② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと |
問題文では「どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため」となっていますが、情報通信機器を労働者が所持しているからといって制度が適用されないわけではありません。
ガイドラインでは、例えば、勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合は①の要件を満たすとされています。
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