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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法 6年間支給停止

R5-205

R5.3.20 厚生年金保険の年金と労働基準法の災害補償との調整

 厚生年金保険法の保険給付は業務上・業務外を問いませんので、障害厚生年金と遺族厚生年金は、業務上の障害や死亡でも支給されます。

 その障害や死亡について、労働基準法の災害補償を受ける権利がある場合の調整についてみていきましょう。

 条文を読んでみましょう。

54条第1

 障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給を停止する。

 

64条 

 遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。 

 

ポイント!

 労災保険法との調整ではなく、「労働基準法」の障害補償・遺族補償との調整です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法第79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。

 

②【H28年出題】

 障害厚生年金は、その受給権者が当該障害厚生年金に係る傷病と同一の傷病について労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 障害厚生年金にも同じ趣旨の規定があります。

 

 

②【H28年出題】 ×

 「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付」ではなく、同一の傷病について「労働基準法第77条の規定による障害補償」を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給が停止されます。

★ちなみに、社会保険(国民年金と厚生年金)と労災保険の年金との調整については労災保険法に規定があります。

 「同一の事由」で社会保険と労災保険の年金給付が支給される場合は、労災保険の年金が減額され、社会保険の年金は全額支給されます。

 労災保険の保険料は全額事業主負担ですが、社会保険は被保険者本人が保険料を負担しているからです。

 例えば、業務上の傷病で障害等級に該当する障害の状態にある場合に、同一の傷病によって、労働基準法第77条の障害補償を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は6年間、支給が停止されます。

 一方、労働者災害補償保険法による障害補償年金を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は支給停止とはならず全額支給されます。労災保険の障害補償年金は減額されます。

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