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社会保険労務士合格研究室

健康保険法 労災との関係

R5-241

R5.4.25 健康保険と労災保険の調整について

 健康保険では、被保険者と被扶養者の「疾病、負傷、死亡、出産」について保険給付を行います。

 ただし、労災保険法に規定する「業務災害」にあたるものは、健康保険の対象から除外されます。

 「通勤災害」については、健康保険からは除外されていませんが、労災保険から給付を受けることができる場合は、調整が行われます。

 

 では、条文を読んでみましょう。

55条 第1(他の法令による保険給付との調整)

 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない

 

 例えば、通勤途上で事故にあい、労災保険の通勤災害に関する保険給付の受給権を得た場合は、健康保険法からの給付は行われません。

 労災保険と健康保険の調整が行われるのは、労災保険法に基づく給付を「受けることができる」ときです。「受けたとき」ではありませんので、労災保険の給付の受給権があれば調整の対象となります。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 被保険者が通勤途上の事故で死亡したとき、その死亡について労災保険法に基づく給付が行われる場合であっても、埋葬料は支給される。

 

②【H28年出題】

 被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。

 

③【R1年出題】

 労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の任意適用事業所に使用される被保険者に係る通勤災害について、労災保険の保険関係の成立の日前に発生したものであるときは、健康保険により給付する。ただし、事業主の申請により、保険関係成立の日から労災保険の通勤災害の給付が行われる場合は、健康保険の給付は行われない。

 

④【R3年出題】

 被保険者又はその被扶養者において、業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)と疑われる事例で健康保険の被保険者証を使用した場合、保険者は、被保険者又はその被扶養者に対して、まずは労災保険法に基づく保険給付の請求を促し、健康保険法に基づく保険給付を留保することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 「同一の疾病、負傷又は死亡」について、労働者災害補償保険法の規定により給付を受けることができる場合には、健康保険の給付は行われません。

 被保険者が通勤途上の事故で死亡し、その死亡について労災保険法に基づく給付が行われる場合は、健康保険の埋葬料は支給されません。

 

 

②【H28年出題】 〇 

 請負で働く場合は労働契約関係にないので、労災保険の対象にはなりません。そのため、請負業務中に負傷しても労災保険から保険給付が行われません。そのような場合は、健康保険の給付が行われます。

(平成25.8.14事務連絡)

 

 

③【R1年出題】 〇

・事業所について、労災保険が適用されるべきであるにもかかわらず、その適用が行われていない場合、その間に発生した通勤災害については、遡って労災保険から給付されます。

・労災保険の任意適用事業所に使用される被保険者に係る通勤災害については、労災保険の保険関係の成立の日前に発生したものは、健康保険から給付が行われます。ただし、事業主の申請により、保険関係成立の日から労災保険の通勤災害の給付が行われる場合は、健康保険の給付は行われません。

S48.12.1保険発第105号・庁保険発第24)

 

 

④【R3年出題】 〇

 労災保険法における業務災害は、健康保険の給付の対象外です。

 また、労災保険法における通勤災害は、労災保険からの給付が優先されます。

 そのため、保険者は、まずは労災保険の請求を促し、健康保険の給付を留保することができます。

(平成25.8.14事務連絡)

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