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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法 遺族厚生年金の支給停止

R5-245

R5.4.29 子に対する遺族厚生年金の支給停止

 遺族厚生年金には、いくつかの支給停止事由が設けられています。

 今日は、第66条第1項の「子」に関しての支給停止の規定をみていきます。

 

 条文を読んでみましょう。

66条第1項 

 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。

 ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文(60歳までの支給停止)、次項本文(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合)又は次条(所在不明の場合)の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない

 

 例えば、厚生年金保険の被保険者が死亡し、死亡の当時、その者によって生計を維持していた配偶者と子がいる場合は、「配偶者と子」に遺族厚生年金の受給権が発生します。

  配偶者と子に受給権が発生したときの調整規定です。

★「子」に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する間、支給停止されます。 → 「配偶者」が遺族厚生年金を受給します。

 

★次に当てはまる場合は、「子」の支給停止が解除され、子に遺族厚生年金が支給されます。

・遺族基礎年金の受給権がない夫の遺族厚生年金が60歳まで支給停止されているとき

・配偶者が遺族基礎年金の受給権を有せず、子が遺族基礎年金の受給権を有する場合で配偶者の遺族厚生年金が支給停止されているとき

・配偶者の所在が1年以上明らかでなく、配偶者の遺族厚生年金が支給停止されているとき

 

 

 過去問では、「配偶者の遺族厚生年金が支給停止」されていても、子の支給停止は解除されないパターンがよく出ていますので注意しましょう。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。この場合、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときであっても、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない。

 

 

②【H30年出題】

 被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。

 

 

③【R3年出題】

 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇 

 被保険者の死亡で、妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間は、子に対する遺族厚生年金は支給停止されます。

★妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているとき

→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)

 

 

②【H30年出題】 ×

 ①の問題と同じです。

★妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたとき

→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)

 

 

③【R3年出題】 ×

★妻が、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金が全額支給停止となったとき

→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)

→ ちなみに、子の「遺族基礎年金」についても、引き続き支給停止されます。 

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