合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

国民年金法 老齢基礎年金の繰上げ

R5-271

R5.5.25 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権の発生

 「繰上げ支給」の受給権の発生について、ご質問がありました。

 今回のテーマは、繰上げ支給の条文の読み方です。

 

 老齢基礎年金の受給権は、要件を満たせば65歳に達した日に発生します。

 しかし、請求することにより、60歳から65歳になるまでの間に、繰り上げて受給することもできます。

 

 条文を読んでみましょう。

附則第9条の2第1項~4項 (老齢基礎年金の支給の繰上げ)

① 保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者であって、60歳以上65歳未満であるもの(任意加入被保険者でないものに限る)は、当分の間、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があった日の前日において、第26条ただし書に該当したときは、この限りでない。

② 繰上げの請求は、老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる者にあっては、当該請求と同時に行わなければならない。

③ 繰上げの請求があったときは、第26条の規定にかかわらず、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する

④ 繰上げにより支給する老齢基礎年金の額は、第27条の規定にかかわらず、同条に定める額から政令で定める額を減じた額とする。 

繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権は請求することによって発生します。

★「③ 繰上げの請求があったときは、第26条の規定にかかわらず、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する。」について

・第26条では、老齢基礎年金は、「65歳に達したとき」に支給する、と規定されています。繰上げ請求をした場合は、第26条の規定にかかわらず、「請求があった日」に老齢基礎年金の受給権が発生するという意味です。

 

こちらの条文も読んでみましょう。

18条第1項 (年金の支給期間)

 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。

 

・年金の支給については、第18条第1項で、「支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から」始める、とありますので、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給は、請求があった日の属する月の翌月から始まります。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の翌日に発生し、受給権発生日の属する月の翌月から支給される。

 

②【H29年出題】

 繰上げ支給の老齢基礎年金は、60歳以上65歳未満の者が65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をしたときに、その請求があった日の属する月の分から支給する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の「翌日」ではなく、「繰上げ請求のあった日」に発生します。

 年金の支給は、「受給権発生日(繰上げ請求のあった日)の属する月の翌月」からです。

 

②【H29年出題】 ×

 繰上げ支給の老齢基礎年金の支給は、その請求があった日の属する月の「翌月」分からです。

社労士受験のあれこれ