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社会保険労務士合格研究室

労働基準法 全額払の原則

R5-357

R5.8.19 賃金債権放棄の意思表示の効力

 賃金支払5原則の一つに、「全額払いの原則」があります。

 今日は、全額払の原則と賃金債権放棄の意思表示についてみていきます。

 

 賃金支払の原則は次の5つです。

(1) 通貨払い

(2) 直接払い

(3) 全額払い

(4) 毎月1回以上払い

(5) 一定期日払い

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H25年出題】

 退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をしたとしても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H27年出題】

 退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、これが労働者の自由な意思に基づくものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

就業規則で支給条件が明確に定められている退職金は、労働基準法上の賃金に該当し、「全額払の原則」が適用されます。

・「全額払の原則」の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものです。

・賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効である、とされています。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

②【H25年出題】 ×

 労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をした場合、それが労働者の「自由な意思」に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、「当該意思表示は有効」とするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

③【H27年出題】 ×

 労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、それが労働者の「自由な意思」に基づくものである場合は、その意思表示は「有効」であるとするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

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