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社会保険労務士合格研究室

令和6年度択一式を振り返りましょう(労働基準法)

R7-061 10.25

<令和6年の問題を振り返って>1か月単位の変形労働時間制の導入要件【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労働基準法の択一式です。

 

 

1か月単位の変形労働時間制について条文を読んでみましょう。

32条の2

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の労使協定を行政官庁に届け出なければならない

 

★ 1か月単位の変形労働時間制を導入するには、「労使協定又は就業規則その他これに準ずるもの」が必要です。

 なお、常時10人以上の労働者を使用する使用者は「就業規則」の作成と届出義務があります。

 そのため、1か月単位の変形労働時間制を導入する手続きは以下のようになります。

常時使用する労働者数

導入要件

10人以上

労使協定 又は 就業規則

10人未満

労使協定 又は 就業規則その他これに準ずるもの

労使協定で導入する場合は、届出が必要です。

 

★ 1か月以内の一定の期間(変形期間といいます)を平均して、1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間(原則40時間・特例の事業場は44時間)を超えないようにしなければなりません。

 変形期間の労働時間の総枠は次の式で計算します。

1週間の法定労働時間(40時間又は44時間)×変形期間の暦日数÷7

 

 たとえば、法定労働時間が原則の40時間で、変形期間を1か月とした場合、

31日の月の労働時間の総枠は、40時間×31日÷7=177.1時間

30日の月の労働時間の総枠は、40時間×30日÷7=171.4時間

となります。

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

R6年問5-ア】

 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を適用するに当たっては、常時10人未満の労働者を使用する使用者であっても必ず就業規則を作成し、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定めをしなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問5-ア】 ×

 常時10人未満の労働者を使用する使用者が1か月単位の変形労働時間制を適用するには、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」のどちらか必要です。

 「必ず就業規則を作成」が誤りです。「労使協定」で導入することもできますし、「就業規則に準ずるもの」で導入することもできます。

 なお、「1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定め」とありますが、特例の事業場の場合は「44時間」となります。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、労使の話合いによる制度の導入を促進するため、また、1か月単位の変形労働時間制以外の変形労働時間制の導入要件は労使協定により定めることとされていることも勘案し、就業規則その他これに準ずるものによる定め又は労使協定による定めのいずれによっても導入できるとされています。

 就業規則その他これに準ずるものによる定めがある場合は、労使協定は不要です。

 また、労使協定で採用する場合は、所轄労働基準監督署長への届出が必要ですが、届出によって効力が発生するわけではありません。そのため、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる」も誤りです。

H11.1.29基発第45号)

 

 

②【R4年出題】

 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を労使協定を締結することにより採用する場合、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。

 

 

 

 

【解答】

②【R4年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制を労使協定で採用する場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。しかし、1か月単位の変形労働時間制の効力は労使協定の締結で発生しますので、「労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。」は誤りです。

 

 

③【H19年出題】

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。

その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7

 

 

 

 

 

【解答】

③【H19年出題】 〇

変形期間の所定労働時間の総枠の計算式のポイントも確認しましょう。

「その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7」

・週法定労働時間は40時間が原則ですが、特例の事業場は44時間です。

・暦日数は、暦上の日数です。労働日数ではありません。 

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