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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法「老齢厚生年金」

R7-259 05.14

老齢厚生年金「退職時改定」

 働きながら(働く=厚生年金保険の被保険者という意味です。厚生年金保険料を負担していることです)受給する老齢厚生年金は、在職老齢年金といわれます。

 厚生年金保険の被保険者でかつ老齢厚生年金の受給権者が、厚生年金保険の資格を喪失すると、負担した保険料を年金額に反映させるため、年金額の再計算が行われます。

 このことを退職時改定といいます。

 

 退職時改定について、条文を読んでみましょう。

43条第3

被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

なお、14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

14条第2号~第4

2) その事業所又は船舶に使用されなくなったとき。(退職したとき)

3) 任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可又は任意単独被保険者の資格喪失の認可があつたとき。

4) 適用除外に該当するに至ったとき。

 

(例)5月31日に退職した場合(6月1日資格喪失)

 「退職した日」から起算して1月を経過した日の属する月=6月から年金額が改定されます。

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】※改正による修正あり

 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

<問題文のチェックポイント>

 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。

 

 

②【R5年出題】

 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、再び被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月以前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

 

 

 

 

【解答】

②【R5年出題】 ×

 老齢厚生年金の額の計算の基礎とされるのは、その被保険者の資格を喪失した月「以前」ではなく「」における被保険者であった期間です。

 被保険者期間は、「資格を喪失した月の前月」までで、資格を喪失した月は保険料が徴収されないからです。

 また、年金の額が改定されるのは、「資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から」ですが、「その事業所又は船舶に使用されなくなったとき等は、その日から起算して1か月を経過した日の属する月から」です。

 

 

 

③【H28年出題】

 在職老齢年金の受給権者が平成28年1月31日付けで退職し同年2月1日に被保険者資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合、当該被保険者資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、平成28年3月から年金額が改定される。

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 ×

 年金の額が改定されるのは、「資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から」ですが、「その事業所又は船舶に使用されなくなったとき等は、その日から起算して1か月を経過した日の属する月から」です。

 問題文は、131日付けで退職していますので、「131日」から起算して1か月を経過した日の属する月(=2月)から改定されます

 

 

④【R2年出題】

 被保険者である老齢厚生年金の受給権者(昭和2571日生まれ)が70歳になり当該被保険者の資格を喪失した場合における老齢厚生年金は、当該被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎となり、令和28月分から年金の額が改定される。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R2年出題】 ×

 昭和2571日生まれの者が70歳に到達するのは、「令和2630日」で、その日に資格を喪失します。

 年金額は、令和2630日(資格を喪失した日)から起算して1か月を経過した日の属する月から改定されます。令和28月分ではなく「令和2年7月」から年金の額が改定されます。

 

 

⑤【H30年出題】

 繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者であって、当該繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、その者が65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H30年出題】 〇

 老齢厚生年金は65歳に達する前に、繰上げて受給することができます。

 繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者で、繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、老齢厚生年金の額が再計算されます。

 具体的には、65歳に達した日の属する月における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算に算入し、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額が改定されます。

(法附則第7条の3第5項)

 

 

⑥【H28年出題】

 被保険者である障害厚生年金の受給権者が被保険者資格を喪失した後、被保険者となることなく1か月を経過したときは、資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から障害厚生年金の額が改定される。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H28年出題】 ×

 障害厚生年金には、退職時改定はありません。

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