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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法「離婚分割」

R7-261 05.16

離婚分割「合意分割制度」基本編

離婚分割には、「合意分割制度」と「3号分割制度」があります。

今回は、「合意分割制度」をみていきます。

合意分割制度は、当事者が合意または裁判手続きにより按分割合を定め、婚姻期間中の「標準報酬月額・標準賞与額」を分割する制度です。

 

条文を読んでみましょう。

78条の2

① 第1号改定者(被保険者又は被保険者であった者であって、標準報酬が改定されるものをいう。=標準報酬が多い方・分割する方)又は第2号改定者(第1号改定者の配偶者であった者であって、標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。=標準報酬が少ない方・分割を受ける方)は、離婚等(離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者について、当該事情が解消した場合を除く)、婚姻の取消しその他厚生労働省令で定める事由をいう。)をした場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(第1号改定者及び第2号改定者(以下これらの者を「当事者」という。)の標準報酬をいう。)改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。

1) 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。)について合意しているとき。

2) 家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき。

② 標準報酬の改定又は決定の請求(以下「標準報酬改定請求」という。)について、当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

③ 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。

 

78条の3

 請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額(対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう。)の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲(以下「 按分割合の範囲」という。)内で定められなければならない。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 平成1941日以後に離婚等をした場合における特例に関して、標準報酬改定請求は、平成1941日前の対象期間に係る標準報酬も改定又は決定の対象としている。

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 合意分割制度は、平成1941日に施行されました。平成1941日以後に離婚等をしたことが条件ですが、平成1941日前の対象期間に係る標準報酬も分割の対象です。

 

 

 

②【H29年選択式】

 厚生年金保険法第78条の2の規定によるいわゆる合意分割の請求は、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過したときは、原則として行うことはできないが、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過した日前に請求すべき按分割合に関する審判の申立てがあったときであって、当該按分割合を定めた審判が離婚等をしたときから2年を経過した後に確定したときは、当該確定した日< A >を経過する日までは合意分割の請求を行うことができる。

 また、合意分割で請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額の合計額に対する、< B >の範囲内でそれぞれ定められなければならない。

(選択肢)

① 第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

② 第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合以下

③ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

④ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合以下

⑤ から起算して6か月   ⑥ から起算して3か月   

⑦ の翌日から起算して6か月   ⑧ の翌日から起算して3か月

 

 

 

 

 

【解答】

②【H29年選択式】

A> ⑦ の翌日から起算して6か月

B> ③ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

(法第78条の3第1項)

按分割合とは?

「第1号改定者・第2号改定者それぞれの対象期間標準報酬総額の合計額」に対する「第2号改定者」の持分です。

按分割合の上限は50%です。

<分割前>

1号改定者(80%)

2号改定者(20%)

按分割合は、20%を超え50%以下の範囲内で定めなければなりません。

按分割合を「50%」にした場合

<分割後>

1号改定者(50%)

2号改定者(50%)

 

 

③【R2年選択式】

 厚生年金保険法第78条の2第1項の規定によると、第1号改定者又は第2号改定者は、離婚等をした場合であって、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき< A >について合意しているときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定を請求することができるとされている。ただし、当該離婚等をしたときから< B >を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでないとされている。

(選択肢)

① 1年   ② 2年   ③ 3年  ④ 6か月

⑤ 按分割合   ⑥ 改定額   ⑦ 改定請求額   ⑧ 改定割合

 

 

 

 

 

【解答】

③【R2年選択式】

A> ⑤ 按分割合

B> ② 2年

 

 

④【H29年出題】

 第1号改定者及び第2号改定者又はその一方は、実施機関に対して、厚生労働省令の定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができるが、その請求は、離婚等が成立した日の翌日から起算して3か月以内に行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H29年出題】 ×

 標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供の請求は、離婚等をしたときから「2年」を経過したときは、行うことができません。

(第78条の2、第78条の4)

 

 

⑤【H27年出題】

 離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 〇

対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができるのは、「家庭裁判所」です。厚生労働大臣ではありませんので注意しましょう。

(第78条の2第2項)

 

 

⑥【H29年出題】

 離婚が成立したが、合意分割の請求をする前に当事者の一方が死亡した場合において、当事者の一方が死亡した日から起算して1か月以内に、当事者の他方から所定の事項が記載された公正証書を添えて当該請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【H29年出題】 〇

 「1か月以内」がポイントです。

(第78条の2、令3条の12の7)

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