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社会保険労務士合格研究室

労働安全衛生法「統括安全衛生責任者」

R7-266 05.21

特定元方事業者の統括安全衛生責任者

 統括安全衛生責任者の選任や職務についてみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

法第15

① 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が2以上あるため、その者が2以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業・造船業に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下 「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。

② 統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。

⑤ 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができる

 

統括安全衛生責任者の選任が必要な規模

原 則

常時50人以上の労働者

ずい道等の建設の仕事

 

常時30人以上の労働者

圧気工法による作業を行う仕事

一定の橋梁の建設の仕事

※労働者の人数は、特定元方事業者の労働者+関係請負人の労働者です。

 

過去問をどうぞ!

①【H20年出題】

 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が同一の場所で混在して仕事をすることによって生ずる労働災害を防止するため、労働安全衛生法施行令第7条第2項で定める仕事の区分により統括安全衛生責任者を選任しなければならないが、この場合、その労働者及び関係請負人の労働者が常時40人のずい道の建設の仕事については、統括安全衛生責任者を選任する必要はない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年出題】 ×

 特定元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者が常時40人のずい道の建設の仕事については、統括安全衛生責任者を選任しなければなりません

(令第7条)

 

 

②【H22年出題】

 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の数が労働安全衛生法施行令で定める仕事の区分に応じて一定数未満であるときを除き、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮等をさせなければならない。

 

 

 

 

【解答】

②【H22年出題】 〇

 統括安全衛生責任者の職務は、「元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。」と規定されています。

30条第1項各号について条文を読んでみましょう。

30条第1

 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。

1) 協議組織の設置及び運営を行うこと。

2) 作業間の連絡及び調整を行うこと。

3) 作業場所を巡視すること。

4)~(6) 省略

 

 

 

③【H20年出題】

 労働安全衛生法第15条第2項は、「統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない」と規定しており、統括安全衛生責任者は当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限及び責任を有しているが、当該作業場所を巡視することに関する措置を講ずる必要はない。

 

 

 

 

【解答】

③【H20年出題】 ×

 統括安全衛生責任者は、「当該作業場所を巡視することに関する措置」を講ずる必要があります。

 

 

④【R4年出題】

 下記に示す事業者が一の場所において行う建設業の事業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 なお、この場所では甲社の労働者及び下記乙①社から丙②社までの4社の労働者が作業を行っており、作業が同一の場所において行われることによって生じる労働災害を防止する必要がある。

 甲社    鉄骨造のビル建設工事の仕事を行う元方事業者

        当該場所において作業を行う労働者数     常時5

 乙①社   甲社から鉄骨組立工事一式を請け負っている事業者

        当該場所において作業を行う労働者数     常時10

 乙②社   甲社から壁面工事一式を請け負っている事業者

        当該場所において作業を行う労働者数     常時10

 丙①社   乙①社から鉄骨組立作業を請け負っている事業者

        当該場所において作業を行う労働者数     常時14

 丙②社   乙②社から壁材取付作業を請け負っている事業者

        当該場所において作業を行う労働者数     常時14

 

A 甲社は、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。

 

B 甲社は、元方安全衛生管理者を選任しなければならない。

 

C 甲社は、当該建設工事の請負契約を締結している事業場に、当該建設工事における安全衛生の技術的事項に関する管理を行わせるため店社安全衛生管理者を選任しなければならない。

 

D 甲社は、労働災害を防止するために協議組織を設置しなければならないが、この協議組織には自社が請負契約を交わした乙社及び乙社のみならず丙社及び丙社も参加する組織としなければならない。

 

E 甲社は、丙社の労働者のみが使用するために丙社が設置している足場であっても、その設置について労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。

 

 

 

 

【解答】

<誤> C

A> 〇

 元方事業者の労働者+関係請負人の労働者=53人ですので、甲社は、統括安全衛生責任者を選任しなければなりません。

 

B> 〇

 「統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業に属する事業を行うものは、元方安全衛生管理者を選任し、その者に第30条第1項各号の事項のうち技術的事項を管理させなければならない」とされています。 

 甲社は、元方安全衛生管理者を選任しなければなりません。

※なお、「造船業」は、元方安全衛生管理者を選任する義務はありません。

 

C> ×

 「店社安全衛生管理者」は、統括安全衛生責任者の選任が義務付けられている現場では、選任する必要はありません。

(法第15条の3)

 

D> 〇

 「協議組織」は、「特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する」ものでなければなりません。自社が請負契約を交わした乙社及び乙社のみならず丙社及び丙社も参加する組織としなければなりません。

(則第635条)

 

 

E> 〇

 法第29条で「元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。」と規定されています。

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