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R7-283 06.07
労働基準法の「退職手当」に関する出題を集めました。
テーマは以下の通りです。
・退職手当は労働基準法の「賃金」に当たるか否か
・賃金支払い5原則の例外
・退職手当は、就業規則の相対的必要記載事項
・金品の返還
・退職金に関する判例
さっそく過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確である場合の退職手当は、労働基準法第11条に定める賃金であり、同法第24条第2項の「臨時に支払われる賃金」に当たる。
【解答】
①【H27年出題】 〇
労働基準法では、退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなさないこととされています。
ただし、退職金、結婚手当等であって労働協約、就業規則、労働契約等によって予め支給条件の明確なものは賃金とされます。
(昭22.9.13発基第17号)
②【R3年出題】
使用者は、退職手当の支払については、現金の保管、持ち運び等に伴う危険を回避するため、労働者の同意を得なくても、当該労働者の預金又は貯金への振込みによることができるほか、銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手を当該労働者に交付することによることができる。
【解答】
②【R3年出題】 ×
賃金は、「通貨払い」が原則です。
例外的に、「労働者の同意」を得た場合は、「当該労働者の預金又は貯金への振込み」によることができます。また、退職手当については、「銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手を当該労働者に交付する」ことによることができます。
③【H12年出題】
使用者は、労働者が退職する場合において、労働者から請求があった場合においては、争いがある部分を除き、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。このことは、退職手当についても同様である。
【解答】
③【H12年出題】 ×
退職手当は、通常の賃金の場合と異なります。
退職手当は、「予め就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りる」とされています。
(法第23条、昭26.12.27基収5483号)
④【H28年出題】
退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払の時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。
【解答】
④【H28年出題】 ×
「退職手当」は、就業規則の相対的必要記載事項です。
退職手当の制度を設ける場合は、就業規則に、「適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を定めなければなりません。
退職手当についての不支給事由又は減額事由は、退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当します。そのため、就業規則に記載しなければなりません。
(法第89条、H11.3.31基発168号)
⑤【H27年出題】
退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、これが労働者の自由な意思に基づくものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
⑤【H27年出題】 ×
「全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。」とされています。
労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示の効力は、肯定されています。
(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷)
⑥【H30年選択式】
最高裁判所は、同業他社への転職者に対する退職金の支給額を一般の退職の場合の半額と定めた退職金規則の効力が問題となった事件において、次のように判示した。
「原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもつて直ちに社員の職業の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがつて、被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が< A >的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。」
<選択肢>
① 功労報償 ② 就業規則を遵守する労働者への生活の補助
③ 成果給 ④ 転職の制約に対する代償措置
【解答】
⑥【H30年選択式】
<A> ① 功労報償
「この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の限度においてしか発生しないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、所論の同法3条、16条、24条及び民法90条等の規定にはなんら違反するものではない。」とされています。
(昭和52.8.9最高裁判所第二小法廷)
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