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社会保険労務士合格研究室

健康保険法「時効」

R7-293 06.17

健康保険の時効と起算日

 健康保険の時効について条文を読んでみましょう。

法第193条 (時効)

① 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

② 保険料等の納入の告知又は督促は、時効の更新の効力を有する。

 健康保険の時効は「2年」です。

 また、「時効」が適用されないもの、「時効の起算日」にも注意してください。

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 療養の給付を受ける権利は、これを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 「現物給付」については、時効は適用されません。

 

 

②【H30年出題】

 療養費の請求権の消滅時効については、療養費の請求権が発生し、かつ、これを行使し得るに至った日の翌日より起算される。例えば、コルセット装着に係る療養費については、コルセットを装着した日にコルセットの代金を支払わず、その1か月後に支払った場合、コルセットを装着した日の翌日から消滅時効が起算される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 ×

 療養費の時効の起算日は、「療養に要した費用を支払った日の翌日」です。

 問題文の場合は、「コルセットを装着した日の翌日」ではなく、「コルセットの代金を支払った日の翌日」から起算します。

 コルセットを装着しただけで費用を支払っていない場合は、「療養費請求の権利を行使し得ない」からです。

(昭和31.3.13保文発第1903号)

 

 

③【H28年出題】※改正による修正あり

 健康保険法では、保険給付を受ける権利は、これを行使することができる時から2年を経過したときは時効によって消滅することが規定されている。この場合、消滅時効の起算日は、療養費は療養に要した費用を支払った日の翌日、高額療養費は診療月の末日(ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日)、高額介護合算療養費は計算期間(前年81日から731日までの期間)の末日の翌日である。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 ×

 高額療養費の時効の起算日が誤りです。

<消滅時効の起算日について> 

・療養費 → 療養に要した費用を支払った日の翌日

・高額療養費 → 診療月の翌月1

  ※診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日

・高額介護合算療養費 → 計算期間(前年81日から731日までの期間)の末日の翌日

(昭和48.11.7庁保険発第21号、保険発第99号、平成21.4.30保保発第430001号)

 

 

④【R5年出題】

 傷病手当金を受ける権利の消滅時効は2年であるが、その起算日は労務不能であった日ごとにその当日である。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R5年出題】 ×

 傷病手当金を受ける権利の時効の起算日は労務不能であった日ごとにその「当日」ではなく「労務不能であった日ごとにその「翌日」」です。

(昭和30.9.7保険発第199-2号)

 

 

⑤【R1年出題】

 出産手当金を受ける権利は、出産した日の翌日から起算して2年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

 

 

 

【解答】

⑤【R1年出題】 ×

 出産手当金を受ける権利は、「出産した日の翌日」からではなく、「労務に服さなかった日ごとにその翌日」から起算します。傷病手当金の時効の起算日と同じ考え方です。

 なお、「出産育児一時金」の時効については、「出産した日の翌日」から起算します。

(昭和30.9.7保険発第199-2号)

 

 

⑥【H26年出題】

 埋葬料は埋葬が実際に行われていなくても埋葬を行うべき者に給付されるものであり、埋葬費は死亡の事実があっても埋葬が行われなければ給付されないと解される。したがって、埋葬料は死亡した日、埋葬費は埋葬した日が保険事故発生の日となる。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H26年出題】 

 埋葬料と埋葬費の起算日の違いに注意しましょう。

埋葬料 → 実際に埋葬を行ったかどうかは関係ないため、時効の起算日は保険事故発生の日(死亡した日)の翌日

埋葬費 → 埋葬を行った事実に対して支払われるので、時効の起算日は保険事故発生日(埋葬した日)の翌日

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