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社会保険労務士合格研究室

社会保険に関する一般常識(比較してみましょう)

R7-344 08.07

保険料の比較(高齢者医療確保法と介護保険法)

最初に、「高齢者医療確保法」と「介護保険法」の財源を確認しましょう。

 

★高齢者医療確保法の「後期高齢者医療」の財源について

公  費(約5割)

保険料(約1割)

後期高齢者支援金(約4割)

※後期高齢者(原則75歳以上)の保険料で負担する割合(後期高齢者負担率)

→令和6・7年度は12.67

 

★介護保険法の財源について

公費(50%)

保険料(50%)

1号被保険者→23

2号被保険者→27

 

 

今回は、「保険料」をみていきます。

 

★後期高齢者医療の保険料について条文を読んでみましょう。

高齢者医療確保法第104条 (保険料)

① 市町村は、後期高齢者医療に要する費用(財政安定化基金拠出金、特別高額医療費共同事業の規定による拠出金及び出産育児支援金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。

② 保険料は、後期高齢者医療広域連合が被保険者に対し、後期高齢者医療広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他の政令で定める基準に従い後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課する。ただし、当該後期高齢者医療広域連合の区域のうち、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に該当するものに住所を有する被保険者の保険料については、政令で定める基準に従い別に後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課することができる。

③ 保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金、特別高額医療費共同事業の規定による拠出金及び出産育児支援金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、高齢者保健事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。

 

過去問をどうぞ!

①【R5年出題】

 市町村は、後期高齢者医療に要する費用に充てるため、保険料を徴収し、後期高齢者医療広域連合に納付する。市町村による保険料の徴収については、市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者(政令で定める者を除く。)から老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させる普通徴収の方法による場合を除くほか、地方自治法の規定により納入の通知をすることによって保険料を徴収する特別徴収の方法によらなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 ×

 「特別徴収(年金からの天引き)」と「普通徴収」の定義が逆です。

市町村は、後期高齢者医療に要する費用に充てるため、保険料を徴収し、後期高齢者医療広域連合に納付します。

「市町村による保険料の徴収」について条文を読んでみましょう。

107条第1

 市町村による保険料の徴収については、特別徴収(市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者(政令で定める者を除く。)から老齢等年金給付の支払をする者(以下「年金保険者」という。)に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させることをいう。)の方法による場合を除くほか、普通徴収(市町村が、保険料を課せられた被保険者又は当該被保険者の属する世帯の世帯主若しくは当該被保険者の配偶者に対し、地方自治法の規定により納入の通知をすることによつて保険料を徴収することをいう。)の方法によらなければならない。

 

 

 

②【R4年出題】

 後期高齢者医療制度において、世帯主は、市町村(特別区を含む。)が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R4年出題】 〇

条文を読んでみましょう。

108条 (普通徴収に係る保険料の納付義務)

① 被保険者は、市町村がその者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない。

② 世帯主は、市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う

③ 配偶者の一方は、市町村が被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。 

 

 

 

③【H30年出題】

 高齢者医療確保法では、老齢基礎年金の年間の給付額が18万円以上である場合、後期高齢者医療制度の被保険者が支払う後期高齢者医療制度の保険料は、年金からの特別徴収でなければならず、口座振替の方法により保険料を納付することは一切できない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 ×

 後期高齢者医療制度の保険料が年金から特別徴収されるのは、年間の年金額が18万円以上の場合です。

 ただし、同一の月に徴収されると見込まれる後期高齢者医療の保険料と介護保険の保険料の合計が、老齢年金等給付の額の2分の1を超える場合等は、「特別徴収」の対象にはなりません。「普通徴収」の対象となります。

「口座振替の方法により保険料を納付することは一切できない」ことはありません。

(令第22条、第23条)

 

 

④【H23年出題】※改正による修正あり

 保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金、第117条第2項の規定による拠出金及び出産育児支援金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、第125条第1項に規定する高齢者保健事業及び同条第5項に規定する事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに第100条第1項の後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】 ×

「おおむね5年」ではなく、「おおむね2年」を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされています。

 

 

★介護保険の保険料について条文を読んでみましょう。

介護保険法第129条 (保険料)

① 市町村は、介護保険事業に要する費用(財政安定化基金拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。

② 保険料は、第1号被保険者に対し、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額によって課する。

③ 保険料率は、市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額並びに地域支援事業及び保健福祉事業に要する費用の予定額、第1号被保険者の所得の分布状況及びその見通し並びに国庫負担等の額等に照らし、おおむね3年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。

④ 市町村は、第2号被保険者からは保険料を徴収しない

 

131条 (保険料の徴収の方法)

 保険料の徴収については、第135条の規定により特別徴収(老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させることをいう。)の方法による場合を除くほか、普通徴収(市町村が、保険料を課せられた第1号被保険者又は当該第1号被保険者の属する世帯の世帯主若しくは当該第1号被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)に対し、地方自治法の規定により納入の通知をすることによって保険料を徴収することをいう。)の方法によらなければならない。

 

132条 (普通徴収に係る保険料の納付義務)

① 第1号被保険者は、市町村がその者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない。

② 世帯主は、市町村が当該世帯に属する第1号被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う

③ 配偶者の一方は、市町村が第1号被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う

 

 

過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

市町村又は特別区は、介護保険事業に要する費用(財政安定化基金拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるために保険料を徴収しなければならない。当該保険料は、第1号被保険者に対し、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額によって課する。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 保険料を徴収するのは「市町村(特別区を含む)」です。

 保険料が課されるのは、「第1号被保険者」です。

 

 

②【R3年出題】

 市町村(特別区を含む。)は、第2号被保険者から保険料を普通徴収の方法によって徴収する。

 

 

 

 

【解答】

②【R3年出題】 ×

 市町村(特別区を含む。)は、第2号被保険者からは保険料を徴収しません。

 第2号被保険者の介護保険料は、各医療保険者が医療保険料と一緒に徴収し、医療保険者から納付金として社会保険診療報酬支払基金に納付しています。

 

 

 

③【R3年出題】

 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の一方は、市町村が第1号被保険者である他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負うものではない。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】 ×

 配偶者の一方は、保険料を連帯して納付する義務を負います。

 

 

④【H30年選択式】

 介護保険法第129条の規定では、市町村又は特別区が介護保険事業に要する費用に充てるため徴収しなければならない保険料は、第1号被保険者に対し、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された額とされ、その保険料率は、おおむね< A >を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H30年選択式】

A> 3年

 

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