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社会保険労務士合格研究室

令和7年選択式(労働に関する一般常識)から学ぶ

R8-008 9.01

統計からみた我が国の高齢者、パワハラ定義、最高裁判例

 令和7年の労働に関する一般常識の選択式から学ぶことは、「問題文の中からヒントを探し出す」ことです。

 

 

統計からみた我が国の高齢者

①【R7年選択式】

 総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6915日)」によれば、65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が132万人と最も多く、次いで「< A >」が107万人で続いている。

 産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「< A >」が63万人増加し、10年前の約2.4倍となった。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「< B >」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少している。なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、    「< B >」が52.9%と最も高くなっている。

<選択肢>

② 医療、福祉  ③ 運輸業、郵便業  ⑩ 建設業  ⑬ 宿泊業、飲食サービス業  ⑭ 生活関連サービス業、娯楽業  ⑮ 製造業  ⑰ 農業、林業

⑱ 不動産業、物品賃貸業

 

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 医療、福祉

B> ⑰ 農業、林業

(総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6915日)」)

★こんなふうに考えてみるのはどうでしょう

A>について

 ヒントは「10年前の約2.4倍となった」の部分です。

 高齢化が進む中で就業者が増えるといえば、「医療、福祉」でしょうか。。。

B>について

 「統計からみた我が国の高齢者」を読みますと、「ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「農業,林業」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少しています。

 なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、「農業,林業」が52.9%と最も高く、次いで「不動産業,物品賃貸業」が26.6%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.7%、「生活関連サービス業,娯楽業」が19.6%などとなっています。」となっています。

 ヒントも見つけにくく、ちょっと難しいですね。。。

 

 

 

パワハラの定義について

②【R7年選択式】

 労働施策総合推進法第30条の2第1項は、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、< C >によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めている。

<選択肢>

⑤ 客観的に合理的な理由を欠いたもの

⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

⑯ 通常甘受すべき程度を著しく超えるもの

⑳ 労働関係の当事者としての権利を濫用するもの

 

 

 

 

 

【解答】

<C> ⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

★職場におけるパワハラは次の3つの要素をすべて満たしたものです。

① 優越的な関係を背景とした言動

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

③ 労働者の就業環境が害される

★客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラに該当しません。

 

過去問も解いてみましょう

【R3年出題】

 労働施策総合推進法第30条の2第1項の「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とする規定が、令和2年6月1日に施行されたが、同項の事業主のうち、同法の附則で定める中小事業主については、令和4331日まで当該義務規定の適用が猶予されており、その間、当該中小事業主には、当該措置の努力義務が課せられている。

 

 

 

 

 

【解答】

【R3年出題】 〇

 「職場におけるパワーハラスメント対策」が大企業に対して義務化されたのは、令和2年6月1日からです。また、中小企業に対しては、令和4年4月1日から義務化されています。

 

 

最高裁判例について

③【R7年選択式】

 最高裁判所は、使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 「組合結成通知を受けてからX守衛事件まで約9か月にわたり、上告人〔会社〕は、許可願の提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用を許可していたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をしていたものということはできず、その取扱いを変更することが許されなくなるものではない。一方、X守衛事件が起きた直後に上告人から会場使用許可願を却下されて以来、組合は、上告人所定の会場使用許可願用紙を勝手に書き変えた使用届を提出するだけで、上告人の許可なく食堂を使用するようになり、こうした無許可使用を上告人が食堂に施錠するようになるまで5か月近く続けていたのであって、これが上告人の< D >権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないことはいうまでもない。上告人は、組合に対し、所定の会場使用許可願を提出すること、上部団体の役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得ること、排他的使用をしないことを条件に、支障のない限り、組合大会開催のため食堂の使用を許可することを提案しているのであって、このような提案は、< D >者の立場からは合理的理由のあるものであり、許可する集会の範囲が限定的であるとしても、組合の拒否を見越して形式的な提案をしたにすぎないということはできない。また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を使用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合からの提案も、上告人の< D >権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の< D >権を無視した要求であると上告人が受け止めたことは無理からぬところである。そうすると、上告人が、X守衛事件を契機として、従前の取扱いを変更し、その後、食堂使用について< D >権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、上告人の< D >権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いたことも、やむを得ないものというべきである。

 以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、< E >であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」

<選択肢>

④ 管理監督  ⑪ 指揮命令  ⑫ 施設管理  ⑲ 利用許諾

① いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの

⑦ 組合に対する報復行為を行ったもの

⑧ 組合の施設利用権限を不利益に変更したもの

⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【R7年選択式】

<D> ⑫ 施設管理

<E> ⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの

(オリエンタルモーター事件・平成7.9.8最高裁判所第二小法廷)

★「使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるということはできない」とされた事例です。

<D>について

 「食堂の使用を許諾しない」をヒントにすると、食堂=施設ですので、「施設管理」がピッタリ当てはまります。業務命令の話ではないので、「管理監督」、「指揮命令」は候補から外すことができると思います。

<E>について

 「報復行為」ではありませんし、「不利益に変更」でもありませんし、「秩序を混乱させよう」でもありません。「弱体化を図ろうとした」が当てはまります。

 

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