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R8-045 10.08
労働契約の締結の際、使用者は労働条件を明示しなければなりません。
また、明示された労働条件と実際の労働条件が相違する場合は、労働者は、即時に労働契約を解除することができます。
条文を読んでみましょう
法第15条 (労働条件の明示) ① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 ② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 ③ ②の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 |
では、過去問を解いてみましょう
①【H16年出題】
労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。
【解答】
①【H16年出題】 〇
労働基準法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件は、賃金、労働時間はもちろん、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいうとされています。
一方、労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、労働基準法施行規則第5条で範囲が具体的に定められています。
②【R6年出題】
使用者は、労働基準法第15条第1項の規定により、労働者に対して労働契約の締結と有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の更新のタイミングごとに、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示しなければならない。
【解答】
②【R6年出題】 〇
すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、雇入れ直後の「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え、「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示が必要です。
(則第5条第1項第1号の3)
➂【R2年出題】
労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。
【解答】
➂【R2年出題】 〇
賃金に関しては、「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期」について書面の交付が必要です。
交付すべき書面の内容としては、就業規則の規定と併せ、前記の賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないとされています。
(H11.3.31基発168号)
なお、「書面の交付」については、労働者が書面の交付が必要な事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができるとされています。
(1) ファクシミリを利用してする送信の方法
(2) 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
(則第5条第4項)
④【H23年出題】
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
【解答】
④【H23年出題】 〇
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができます。
⑤【R5年出題】
社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合においては、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれないから、労働契約の締結に当たり同旨の条件を付していたにもかかわらず、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできない。
【解答】
⑤【R5年出題】 〇
・社宅を利用する利益が、法第11条にいう賃金である場合は、社宅を供与すべき旨の条件は、法第15条第1項の「賃金、労働時間その他の労働条件」となります。そのため、社宅を供与しなかった場合は、同条2項の労働契約の解除権を行使できます。
・社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合は、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれません。そのため、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできません。
ちなみに、労基法第15条の適用がなくても、民法第541条の規定によって契約を解除することは可能です。
(昭23.11.27基収3514号)
⑥【H28年出題】
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合、当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。
【解答】
⑥【H28年出題】 ×
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合は、「その解除は、将来に向かってのみその効力を生じる」とされています。
(民法第630条)
労働契約の効力を遡及的に消滅させ、契約が締結されなかったのと同一の法律効果を生じさせるのものではありません。
⑦【R7年出題】
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができるにとどまり、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することはできない。
【解答】
⑦【R7年出題】 ×
明示された労働条件は労働契約の内容となっているため、明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することができます。
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