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社会保険労務士合格研究室

労働基準法「割増賃金」

R8-047 10.10

割増賃金の基礎となる賃金の算出

 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合は、1時間当たりの賃金を一定率以上で割増した割増賃金を支払わなければなりません。

 割増賃金の基礎となる賃金(1時間当たりの単価)の算出方法をみていきます。

 

 

 条文を読んでみましょう

則第19条第1

 法第37条第1項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第33条若しくは法第36条第1項の規定によって延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後10時から午前5(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6)までの労働時間数を乗じた金額とする。

1) 時間によって定められた賃金 → その金額

2) によって定められた賃金 → その金額を1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異る場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額

3) によって定められた賃金 → その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異る場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額

4) によって定められた賃金 → その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額

5) 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

6) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金 → その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

 

★割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金(則第21条)

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金

・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

 

過去問をどうぞ!

①【R7年出題】

 通勤手当を、月額1,000円までは距離にかかわらず一律に、1,000円を超える場合は実際距離に応じた額を支給することとしている場合、割増賃金の基礎となる賃金の算定に当たっては、一律に支給される1,000円を含む通勤手当として支給した額全額を、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

 

 

 

 

 

①【R7年出題】 ×

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金ですので、割増賃金の基礎となる賃金には算入しなくてもいいとされています。

 ただし、問題文のように、通勤手当を、月額1,000円までは距離にかかわらず一律に、1,000円を超える場合は実際距離に応じた額を支給することとしている場合は、実際距離によらない1,000円は割増賃金の基礎となる賃金に算入されます

 

通 勤 手 当

距離にかかわらず一律1,000

実際距離に応じて支払われる

  ↑

実際距離によらない1,000円は割増賃金の基礎となる賃金に算入されます。

(昭23.2.20基発295号)

 

 

 

②【R7年出題】

 手術に従事した医師に対して支払われる手術手当は、当該手術手当を支給される医師が手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合においても、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 ×

 手術手当は、手術手当の与えられる勤務時間が法定の割増賃金を支払うべき時間に該当する場合にのみ割増賃金の基礎となる賃金となります。

 手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合は、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくても差し支えありません。

(昭23.11.22基発1681号)

 

 

➂【R7年出題】

 通常は事務作業に従事している労働者が、法定労働時間外に特殊作業手当が支払われる現場作業に従事した場合、当該労働者にとって当該現場作業は本条第1項の「通常の労働時間」には該当しないので、当該特殊作業手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 ×

 通常は事務作業に従事していても、法定労働時間外に特殊作業手当が支払われる現場作業に従事した場合は、特殊作業手当を割増賃金の基礎となる賃金に算入して計算した割増賃金を支払わなくてはなりません。

(昭23.11.22基発1681号)

 

 

 

④【R7年出題】

 いわゆる年俸制の適用を受ける労働者の割増賃金の取扱いについて、賞与の支給額が確定しており、かつ、毎月支払部分と賞与とが明確に区分されている場合には、当該賞与額を割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 賞与は割増賃金の基礎となる賃金には算入しませんが、「支給額が確定している」ものは、労働基準法の賞与とはみなされません。

 そのため、毎月支払部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は「賞与」に該当しません。

 問題文の場合は、賞与額も含めて確定した年俸額を算定の基礎とした割増賃金の支払が必要です。

(平12.3.8基収78号)

 

 

 

⑤【R7年出題】

 正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が午後10時から午前5時までの間において行われる看護業務に従事したときに、その勤務1回につき夜間看護手当として3,000円を支払う場合、当該夜間看護手当は、本条第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 〇

 正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が深夜に行われる看護業務に従事したときに支給される夜間看護手当は、通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされています。

(昭41.4.2基収1362号)

 

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→ https://youtu.be/7rLCbQAqKGo?si=p073GvhY6jkLpIZ0

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