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社会保険労務士合格研究室

労働基準法「就業規則」

R8-048 10.11

就業規則に関する出題

 今回は、「就業規則」の問題をみていきます。

 

就業規則について条文を読んでみましょう

法第89条 (作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

<絶対的必要記載事項>

① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

② 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

➂ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

<相対的必要記載事項>

④ 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

⑤ 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

⑥ 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

⑦ 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

⑧ 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

⑨ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

⑩ 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

⑪ 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

法第90(作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。

 

法第91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R7年出題】

 就業規則を作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R7年出題】 〇

 使用者には、「就業規則」を、労働者に周知させる義務があります。(法第106条)

 周知の方法は、次の3つのうちいずれかの方法です。(則第52条の2)

①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

②書面を労働者に交付すること。

➂使用者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

 

 

②【R7年出題】

 使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なう所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行なわれるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

 従業員の金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なわれる所持品検査が許されるための要件従業員の検査の受忍義務について判示されています。

 使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なう所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行なわれるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例です。

(西日本鉄道事件 最二小 昭43.8.2

 

 

 

➂【R7年出題】

 労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいてはじめて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態(シフト制)の労働者に関する労働基準法第89条第1項第1号に係る事項の就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならないが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 〇

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項などについて、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条第1号等)。

 同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻や休日が異なる場合には、勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻等を規定しなければなりません。

 シフト制労働者に関して、就業規則上「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことになりません

 しかし、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えありません。

(令和4年1月7日 厚生労働省 いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項より)

 

 

 

④【R7年出題】

 労働基準法第90条第2項の規定により就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載しただけでは足りず、この者の押印もなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 「届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならない。」と規定されています。(則第49条)

就業規則の届出に添付すべき意見書については、労働者の押印又は署名は不要です。

 

 

 

⑤【R7年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その時間分の減給は、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、同条に定める規定の適用を受ける。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 〇

 労働者が、遅刻・早退をした場合、労働の提供がなかった時間について、その分、賃金を差し引いても、労基法第91条に定める減給の制裁には該当しません。

ただし、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされますので、減給の制裁の規定の適用を受けます。

(昭63.3.14基発150号)

 なお、減給制裁には以下のように限度が設けられています。

1回の事案に対しては、減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内

一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額は、当該賃金支払期における賃金総額の10分の1以内

 

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