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社会保険労務士合格研究室

健康保険法「傷病手当金の支給調整」

R8-066 10.29

傷病手当金と報酬等との調整

 今回のテーマの1つ目は、「傷病手当金」と「報酬」との支給調整です。報酬を受けるときは、原則として傷病手当金は支給されません。

 テーマの2つ目は、「傷病手当金」と「出産手当金」との支給調整です。出産手当金が優先されることがポイントです。

 

 条文を読んでみましょう

108条第1

 疾病にかかり、又は負傷した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、傷病手当金の額より少ないとき(103条第1項又は第3項若しくは第4項に該当するときを除く。)は、その差額を支給する。

 

法第103条 (出産手当金と傷病手当金との調整)

① 出産手当金を支給する場合(108条第3項又は第4項に該当するときを除く。)においては、その期間、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる出産手当金の額(同条第2項ただし書の場合においては、同項ただし書に規定する報酬の額と同項ただし書の規定により算定される出産手当金の額との合算額)が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する

② 出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金(前項ただし書の規定により支払われたものを除く。)は、出産手当金の内払とみなす

 

 

では、過去問を解いてみましょう

①【H26年出題】※改正による修正あり

 被保険者が、業務外の事由による疾病で労務に服することができなくなり、4月25日から休業し、傷病手当金を請求したが、同年5月末日までは年次有給休暇を取得したため、同年6月1日から傷病手当金が支給された。この傷病手当金の支給期間は、同年4月28日から通算して1年6か月間である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 「傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6か月間」ですので、問題文の傷病手当金の支給期間は、傷病手当金の支給が始まった「61日」から通算して16か月です。

報酬あり

報酬なし

4/25・・・・・・・・・・・・・・・・5/31

6/1・・・・・・・・

年次有給休暇

欠勤

傷病手当金 支給停止

支給→(通算16か月)

 報酬が支払われている場合、傷病手当金は支給停止されます。(なお、報酬が支払われていても待期は完成します。4月25日、26日、27日の連続した3日間で待期は完成します。)

 そのため、傷病手当金は報酬を受けなくなった日(=支給停止事由がなくなった日)から支給が始まり、「支給を始めた日」から通算して16か月間支給されます。

(昭24.1.24保文発162

 

 

②【H28年出題】

 傷病手当金は、その支給期間に一部でも報酬が支払われていれば支給額が調整されるが、当該支給期間以前に支給された通勤定期券の購入費であっても、傷病手当金の支給期間に係るものは調整の対象となる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】

 傷病手当金は、その支給期間に一部でも報酬が支払われていれば支給額が調整されます。

 「通勤手当」も報酬に当たります。支給期間以前に支給された通勤定期券の購入費でも、実態は毎月の通勤に対し支給されていますので、傷病手当金の支給期間に係るものは調整の対象となります。

(昭27.12.4保文発7241

 

 

 

➂【R7年出題】

 被保険者が、介護休業期間中に私傷病により傷病手当金を受給する場合には、その期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金の支給額について介護休業手当等との調整が行われる。なお、傷病手当金との調整の対象とされる報酬には、就業規則に基づき報酬支払の目的をもって支給された見舞金は含まれない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 ×

 傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当する場合は、介護休業期間中でも傷病手当金又は出産手当金は支給されます。

ただし、傷病手当金又は出産手当金が支給される場合で、その期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金又は出産手当金の支給額について介護休業手当等との調整が行われます

H11.3.31保険発第46号・庁保険発第9)

 見舞金その他名称の如何を問わず、就業規則又は労働協約等に基き、報酬支払の目的をもって支給されたとみなされるもので、その支払事由の発生以後引続き支給されるものは、「報酬」に該当します。そのため、傷病手当金との調整の対象となります。

(昭25..22保文発第376)

 問題文の前半は「〇」ですが、後半の見舞金は報酬に含まれますので、「×」です。

 

 

④【H30年出題】

 出産手当金の支給要件を満たす者が、その支給を受ける期間において、同時に傷病手当金の支給要件を満たした場合、いずれかを選択して受給することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H30年出題】 ×

 出産手当金と傷病手当金はいずれか選択ではありません。

 出産手当金を支給する場合は、その期間は、傷病手当金は原則として支給されません。

 

 

 

⑤【R4年出題】

 出産手当金の支給要件を満たす者が、その支給を受ける期間において、同時に傷病手当金の支給要件を満たした場合は、出産手当金の支給が優先され、支給を受けることのできる出産手当金の額が傷病手当金の額を上回っている場合は、当該期間中の傷病手当金は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R4年出題】 〇

 出産手当金の支給要件を満たす者が、その支給を受ける期間に、同時に傷病手当金の支給要件を満たした場合は、「出産手当金」の支給が優先されます。

 出産手当金の額>傷病手当金の額の場合は、傷病手当金は支給されません。

 ちなみに、出産手当金の額<傷病手当金の額の場合は、差額の傷病手当金が支給されます。

 

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