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社会保険労務士合格研究室

国民年金法「失踪宣告・死亡の推定」

R8-067 10.30

「失踪宣告」と「死亡の推定」

「失踪宣告」と「死亡の推定」の違いを意識しましょう

 

■「失踪宣告」について

民法に規定されています。

・「不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。」とされていて、失踪の宣告を受けた者は7年の期間が満了した時に、死亡したものとみなす。」とされています。

(民法第30条第1項、第31条)

 生死が明らかでない者を、法律上死亡したものとみなす制度です。

 

■「死亡の推定」について

 失踪期間の満了を待っているうちに、子が高校を卒業してしまい遺族基礎年金が受けられなくなる可能性もあります。

 そのため、国民年金法では、特例を設けています。

国民年金法の条文を読んでみましょう

法第18条の3

船舶沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった者の生死が3か月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその航空機に乗っていた者若しくは航空機に乗っていてその航空機の航行中に行方不明となった者の生死が3か月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合にも、同様とする。

 

ポイント!

 死亡の推定が適用されるのは、「船舶」の沈没等、「航空機」の墜落等の場合です。

 

過去問を解いてみましょう

①【H18年出題】

 失踪宣告があったときは、行方不明になってから5年を経過した日に死亡したものとみなされる。

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 ×

 失踪宣告があったときは、行方不明になってから「7年」を経過した日に死亡したものとみなされます。

 

 

 

②【H26年出題】

 民法の規定による失踪宣告があり、行方不明になってから7年を経過した日が死亡日とみなされた場合、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用における生計維持関係、被保険者資格及び保険料納付要件については、行方不明になった日を死亡日として取り扱う。

 

 

 

 

 

②【H26年出題】 〇

 失踪宣告があり、行方不明になってから7年を経過した日が死亡日とみなされた場合、「生計維持関係、被保険者資格、保険料納付要件」については、行方不明になった日を死亡日として取り扱うことになっています。

条文を読んでみましょう

18条の4

 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金について「死亡日」とあるのは「行方不明となった日」とし、「死亡の当時」とあるのは「行方不明となった当時」とする。ただし、受給権者又は給付の支給の要件となり、若しくはその額の加算の対象となる者の身分関係、年齢及び障害の状態に係るこれらの規定の適用については、この限りでない

 

行方不明となった日=死亡日

生計維持関係、被保険者資格、保険料納付要件

7年を経過した日

身分関係、年齢、障害の状態

 

 

➂【R2年出題】

 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る遺族基礎年金の支給に関し、死亡とみなされた者についての保険料納付要件は、行方不明となった日において判断する。

 

 

 

 

【解答】

➂【R2年出題】 ×

 遺族基礎年金の支給に関する保険料納付要件は、「死亡日の前日」で判断されます。そのため失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者の保険料納付要件は、「行方不明となった日の前日」で判断されます。

 

 

 

④【R7年出題】

 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者の子に対する遺族基礎年金は、失踪の宣告を受けた日において子の年齢が18歳に達する日以後の最初の331日に達している場合であっても、失踪の宣告を受けた者の所在が明らかでなくなった日が、18歳に達する日以後の最初の331日までの間であれば、その日まで遡って受給できる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 受給権者又は給付の支給の要件となり、若しくはその額の加算の対象となる者の身分関係、年齢及び障害の状態は、行方不明となった日ではなく、死亡したとみなされた日で判断されます。

 なお、遺族基礎年金の受給権は、行方不明となった日ではなく、死亡したとみなされた日に発生します。

 

 

 

⑤【H26年出題】

 船舶に乗っていた者がその船舶の航行中に行方不明となり、その生死が1か月間分からない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、行方不明となった日に、その者が死亡したものと推定する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H26年出題】 ×

 「1か月間」ではなく「3か月間」です。

 

 

⑥【H22年出題】

 船舶が行方不明になった際に現にその船舶に乗船し、行方不明となった者の生死が分からない場合は、その船舶が行方不明となった日から3か月を経過した日にその者は死亡したものと推定する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【H22年出題】 ×

 船舶が行方不明になった際に現にその船舶に乗船し、行方不明となった者の生死が分からない場合は、「その船舶が行方不明となった日から3か月を経過した日」ではなく、「その船舶が行方不明になった日」にその者は死亡したものと推定されます。

 なお、遺族基礎年金の受給権は、「船舶が沈没等をした日・航空機が墜落等をした日」に発生します。

 

 

 

⑦【H29年出題】

 冬山の登山中に行方不明になり、その者の生死が3か月間分からない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用について、行方不明となった日にその者は死亡したものと推定される。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【H29年出題】 ×

 冬山の登山中に行方不明になっても、死亡の推定は適用されません。

 

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