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社会保険労務士合格研究室

国民年金法「遺族基礎年金」

R8-069 11.01

配偶者に対する遺族基礎年金の減額改定

 遺族基礎年金は、「配偶者」に支給される場合と「子」に支給される場合がありますが、今回は、「配偶者」に対する遺族基礎年金をみていきます。

 遺族基礎年金が支給される配偶者は、「子」と生計を同じくしていることが条件です。

 そのため、配偶者に対する遺族基礎年金には、必ず子の数に応じた加算額が加算されています。

 

 条文を読んでみましょう

法第38

 遺族基礎年金の額は、780,900改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100に切り上げるものとする。)とする。

法第39

 配偶者に支給する遺族基礎年金の額は、法第38条に定める額に配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時第37条の2第1項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子につきそれぞれ74,900に改定率を乗じて得た額(そのうち2人までについては、それぞれ224,700に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。

 

★配偶者に支給される遺族基礎年金

 

子が1

780,900円×改定率

+224,700円×改定率

子が2

780,900×改定率

+224,700×改定率+224,700円×改定率

子が3

780,900×改定率

+224,700×改定率+224,700×改定率+74,900円×改定率

 

例えば、子が3人いる場合は、基本の額に(224,700×改定率+224,700×改定率+74,900×改定率)が加算されます。

3人の子のうち、1人が18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときは、子の加算額が3人→2人に減額改定されます。

 

 減額改定について条文を読んでみましょう

法第39条第3

 配偶者に支給する遺族基礎年金については、子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至った子の数に応じて、年金額を改定する。

1) 死亡したとき。

2) 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。

3) 配偶者以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。

4) 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき。

5) 配偶者と生計を同じくしなくなったとき。

6) 18歳に達した日以後の最初の331日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。

7) 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の331日までの間にあるときを除く。

8) 20歳に達したとき。

 

 子が(1)~(8)に該当したときは、その子の分、加算額が減額されます。

 ただし、「1人を除いた」の部分がポイントです。

 配偶者は子があることが要件です。子が全員(1)~(8)に該当した場合は、減額ではなく、遺族基礎年金は失権します。

 そのため、「減額」されて支給されるのは、1人でも子がある場合です。

 

では、問題を解いてみましょう

①【R2年出題】

 被保険者である夫が死亡し、その妻に遺族基礎年金が支給される場合、遺族基礎年金には、子の加算額が加算される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 

 配偶者に支給される遺族基礎年金には、必ず子の数に応じた加算額が加算されます。

 

 

 

②【R7年出題】

 配偶者に支給する遺族基礎年金については、子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にあるときを除いて、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに年金額が減額改定される。また、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にある子の場合は、20歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに年金額が減額改定される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 ×

 「配偶者に支給する遺族基礎年金については、子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にあるときを除いて、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに年金額が減額改定される。また、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にある子の場合は、20歳に達したときに年金額が減額改定される。」となります。

 「20歳に達した日以後の最初の331日が終了したとき」は誤りです。

 

 

➂【R4年出題】

 被保険者である妻が死亡し、その夫が、1人の子と生計を同じくして、遺族基礎年金を受給している場合において、当該子が18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに、障害等級に該当する障害の状態にない場合は、夫の有する当該遺族基礎年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R4年出題】 〇

 子が1人で、その子が18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに、障害等級に該当する障害の状態にない場合は、子がいなくなるため、夫の遺族基礎年金は減額改定ではなく、失権します。

 条文を読んでみましょう

法第40条第2

配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によって消滅するほか、子が1人であるときはその子が子が2人以上であるときは同時に又は時を異にしてその全ての子が、法第39条第3項各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する

 

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