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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法「在職老齢年金」

R8-078 11.10

在職老齢年金の仕組み

 在職老齢年金とは?

「総報酬月額相当額」+「基本月額」が、「支給停止調整額」を超える場合に、老齢厚生年金の年金額の全部又は一部の支給が停止される仕組みです。

 なお、在職老齢年金は、「老齢厚生年金」の受給権者でかつ「厚生年金保険の被保険者(=在職中で厚生年金保険料を負担している)」に適用されます。

 

条文を読んでみましょう

法第46条第1項 (支給停止)

 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続き当該国会議員又は地方公共団体の議会の議員である者に限る。)である日又は70歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日が属する月において、総報酬月額相当額及び基本月額との合計額支給停止調整額超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(繰下げ加算額を除く)の支給を停止するものとする。

 

 

★用語の定義を確認しましょう

「総報酬月額相当額」

→ 標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額

国会議員又は地方公共団体の議会の議員について → 標準報酬月額に相当する額として政令で定める額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額として政令で定める額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額

70歳以上の使用される者について → 標準報酬月額に相当する額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額

 

「基本月額」

 老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く)を12で除して得た額

 

 

過去問を解いてみましょう

①【R4年出題】

 在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超える場合、年金額の一部又は全部が支給停止される仕組みであるが、適用事業所に使用される70歳以上の者に対しては、この在職老齢年金の仕組みが適用されない。

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】  ×

 適用事業所に使用される70歳以上の者に対しても、在職老齢年金の仕組みが適用されます。

 適用事業所に使用されていても70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者ではありませんので、保険料の負担はありませんが、在職老齢年金の仕組みは適用されます。

 厚生年金保険の被保険者でないので、標準報酬月額と標準賞与額は、「標準報酬月額に相当する額」と「標準賞与額に相当する額」となります。

(令3条の6)

 

 

 

②【R7年出題】

 地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる。

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

 「国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続き当該国会議員又は地方公共団体の議会の議員である者に限る。)である日が属する月」も在職老齢年金の規定が適用されます。

 なお、地方公共団体の議会の議員の総報酬月額相当額は、「議員報酬の月額及び期末手当」で算定します。

(令3条の6)

 

 

➂【H29年出題】

60歳台後半の在職老齢年金の仕組みにおいて、経過的加算額及び繰下げ加算額は、支給停止される額の計算に用いる基本月額の計算の対象に含まれる。

 

 

 

 

【解答】

➂【H29年出題】 ×

 「経過的加算額」も「繰下げ加算額」も、基本月額の計算には入りません。

 なお、「経過的加算額」については、昭和60年法附則第62条で、基本月額の算定に含まない旨が規定されています。

(昭60法附則第62条)

 

 

 

④【R4年出題】

 在職中の被保険者が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生した場合、老齢基礎年金は在職老齢年金の支給停止額を計算する際に支給停止の対象とはならないが、経過的加算額については在職老齢年金の支給停止の対象となる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】 ×

 「老齢基礎年金」も「経過的加算額」も在職老齢年金の支給停止の対象となりません。

(昭60法附則第62条)

 

 

 

⑤【R4年出題】

 在職老齢年金の支給停止額を計算する際に用いる総報酬月額相当額は、在職中に標準報酬月額や標準賞与額が変更されることがあっても、変更されない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R4年出題】 ×

 在職老齢年金の支給停止額の計算に用いる「総報酬月額相当額」は、「標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額」です。

 在職中に標準報酬月額や標準賞与額が変更されると、総報酬月額相当額も変更されます。

 

 

⑥【R7年出題】

 前月から引き続き厚生年金保険の被保険者の資格を有する65歳以後の老齢厚生年金の受給権者の総報酬月額相当額が改定された場合は、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該総報酬月額相当額の改定が行われた月の翌月から支給される年金額が改定される。

 

 

 

 

【解答】

⑥【R7年出題】 ×

 老齢厚生年金の受給権者の総報酬月額相当額が改定された場合は、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算されます。その場合、総報酬月額相当額の改定が行われた月の「翌月」ではなく、「総報酬月額相当額の改定が行われた月」から年金額が改定されます。

 

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