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社会保険労務士合格研究室

労働保険徴収法「一括有期事業」

R8-081 11.13

一括有期事業のポイント!

 例えば、建設現場などの「有期事業」は、有期事業ごとに、労働保険料を申告・納付します。

 ただし、規模の小さい有期事業は、法律上当然に一括され、継続事業と同じ方法で、保険年度ごとに労働保険料を申告・納付します。この制度を「一括有期事業」といいます。

 有期事業の一括の制度は、「労災保険」に係る保険関係のみに適用されることもポイントです。

 

では、条文を読んでみましょう

法第7条、則第6条 (有期事業の一括)

 2以上の事業が次の要件に該当する場合には、その全部を一の事業とみなす

1) 事業主が同一人であること。

2) それぞれの事業が、有期事業(建設の事業・立木の伐採の事業)であること。

3) それぞれの事業の規模が、厚生労働省令で定める規模以下であること。

・概算保険料の額が160万円未満であること。

かつ

・ 建設の事業は、請負金額18千万円未満

・ 立木の伐採の事業は、素材の見込生産量1,000立方メートル未満

4) それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること。

5)厚生労働省令で定める要件に該当すること。

・それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業であり、又は立木の伐採の事業であること。

・それぞれの事業が、事業の種類(別表第一に掲げる事業の種類をいう。)を同じくすること。

・それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われること。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】(労災)

 2以上の有期事業が労働保険徴収法による有期事業の一括の対象になると、それらの事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用され、原則としてその全体が継続事業として取り扱われることになる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】(労災) 〇

 2以上の有期事業が有期事業の一括の対象になると、「当然に」それらの事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用されます。労働保険料の申告、納付については、継続事業と同じく年度更新の手続きをとります。

(昭40.7.31基発901号)

 

 

 

②【R7年出題】(労災)

 労働保険徴収法第7条の適用による一括有期事業を開始したときには、初めに保険関係成立届を提出することとなるが、この届を一度提出しておけば、以後何年でもこの一括有期事業が継続している限り、当該一括有期事業に含まれる個々の事業については、その都度保険関係成立届を提出する必要はない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】(労災) 〇

 一括有期事業を開始したときには、「初めに」保険関係成立届を提出します。

 当該一括有期事業に含まれる個々の事業については、その都度保険関係成立届を提出する必要はありません。

 

 

 

➂【R7年出題】(労災)

 労働保険徴収法第7条の適用により一括された個々の有期事業について、その後、事業の規模の変更等があった場合には、当初の一括の扱いとされず、新たに独立の有期事業として取り扱われる。

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】(労災) ×

 一括された個々の有期事業が、その後、事業の規模の変更等があった場合でも、新たに独立の有期事業としては取り扱われず、当初の一括の扱いのままとなります。

 なお、当初は、単独の有期事業として成立した事業が、事業の規模の変更等で、その後、有期事業の一括のための要件を満たすにいたっても、一括の対象とはならず、単独のまま扱われます。

 

 

 

④【R7年出題】(労災)

 労働保険徴収法第7条の適用により一括有期事業とみなされるための要件として、立木の伐採の事業以外の事業にあっては請負金額の上限が定められているが、当該請負金額を計算するに当たって、事業主が注文者からその事業に使用する機械器具等の貸与を受けた場合には、厚生労働大臣が定める事業の種類に該当する事業を除き、当該機械器具等の損料に相当する額(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額(消費税等相当額を除く。)から控除することとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】(労災) ×

 請負による建設の事業の「請負金額」の算定についての問題です。

 事業主が注文者から機械器具等の貸与を受けた場合には、当該機械器具等の損料に相当する額(消費税等相当額を除く)を請負代金の額(消費税等相当額を除く)「加算する」とされています。問題文の「控除する」は誤りです。

※厚生労働大臣が定める事業の種類に該当する事業の事業主が注文者からその事業に使用する物で厚生労働大臣がその事業の種類ごとに定めるものの支給を受けた場合は、扱いが変わります。

(則第13条)

 

 

⑤【R3年出題】(労災)

 X会社がY会社の下請として施工する建設の事業は、その事業の規模及び事業の種類が有期事業の一括の要件を満たすものであっても、X会社が元請として施工する有期事業とは一括されない。

 

 

 

 

【解答】

⑤【R3年出題】(労災) 〇

 有期事業の一括の要件の一つは「事業主が同一人であること」です。事業主が同一人とは、その事業が同一の企業に属していることです。徴収法の事業主は、「元請負人」となり、下請負人は事業主に含まれません。

 そのため、X会社がY会社の下請として施工する建設の事業は、X会社が元請として施工する有期事業とは一括されません。

 

 

⑥【R7年出題】(労災)

 二以上の有期事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用される場合であって、労働保険徴収法施行規則第17条第3項で定める規模の事業のとき、同法第20条に規定するいわゆる有期事業のメリット制の適用対象とされる。

 

 

 

 

【解答】

⑥【R7年出題】(労災) ×

 一括有期事業については保険年度ごとに保険料を申告・納付しますので、有期事業のメリット制ではなく、「継続事業」と同じ仕組みのメリット制が適用されます。

 

 

 

⑦【R4年出題】(労災)

 二以上の有期事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法の規定が適用される事業の事業主は、確定保険料申告書を提出する際に、前年度中又は保険関係が消滅した日までに終了又は廃止したそれぞれの事業の明細を記した一括有期事業報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【R4年出題】(労災) 〇

 一括有期事業については、確定保険料申告書を提出する際に、「一括有期事業報告書」を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければなりません。

(則第34条)

 

 

 

⑧【R7年出題】(労災)

 労働保険徴収法第7条の適用により一括有期事業とみなされた場合、概算保険料申告書、確定保険料申告書は当該一括有期事業に係る労働保険料の納付事務を取り扱う一の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、一括有期事業報告書は一括された事業ごとに作成し、各事業の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官にそれぞれ提出しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑧【R7年出題】(労災) ×

 一括有期事業の事務については、「労働保険料の納付の事務を取り扱う一の事務所」の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長が、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長とされます。(則第6条第3項)

 「一括期事業報告書」は、その保険年度中に終了した一括有期対象事業をすべて記入し、当該一括有期事業に係る労働保険料の納付事務を取り扱う一の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければなりません。

(則第34条)

 

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