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社会保険労務士合格研究室

雇用保険法「任意適用事業」

R8-086 11.18

雇用保険の暫定任意適用事業

 雇用保険は「労働者雇用される事業を適用事業とする。」と規定されています。

(法第5条)

 労働者を1人でも雇用すると、強制的に雇用保険の適用事業となります。

 

 ただし、農林水産業の一部については任意適用事業となります。

 条文を読んでみましょう

法附則第2

 次の各号に掲げる事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)除く)であって、政令で定めるものは、当分の間、任意適用事業とする

1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く)

 

令附則第2

 法附則第2条第1項の政令で定める事業は、同項各号に掲げる事業のうち、常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く)とする。

 

★ 農林水産の事業のうち常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業(国、都道府県、市町村等及び法人の事業を除く。)は、当分の間、任意適用事業とされます。

★ 船員を雇用する事業は、農林水産業の事業であっても、原則として、強制適用事業となります。※雇用保険法施行令第2条各号に掲げる漁船(特定漁船)以外の漁船に乗り組むために雇用される船員(1年を通じて船員として雇用される場合を除く。)のみを雇用している場合を除きます。

★ 暫定任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日にその事業につき雇用保険に係る保険関係が成立します。

(行政手引20101

 

では、過去問を解いてみましょう

①【R7年出題】

 公益財団法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)に基づき公益認定を受けた一般財団法人)である事業主の事務所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R7年出題】 ×

 「国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)」は、任意適用事業から除かれています。

 「法人」とは、私法人、公法人、特殊法人、公益法人、中間法人(協同組合等)、営利法人(会社)を問わず、法人格のある社団、財団のすべてが含まれるとされています。

 そのため、公益財団法人である事業主の事務所は、任意適用事業ではありません。

(行政手引20104

 

 

 

②【R7年出題】

 年間のうちごく短期間のみ陸上で行われる水産養殖業を営む個人経営事業所が8人の労働者を雇用している場合、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず当該事業所は任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

 任意適用事業になるのは、「常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業」です。

 「常時5人以上」とは、一の事業において雇用する労働者の数が年間を通じて5人以上であることをいいます。

 したがって、ごく短期間のみ行われる事業、あるいは一定の季節にのみ行われる事業(いわゆる季節的事業)は、通常「常時5人以上」には該当しません

 問題文の、年間のうちごく短期間のみ陸上で行われる水産養殖業を営む個人経営事業所が8人の労働者を雇用している場合は、「常時5人以上」には該当しませんので、任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができます。

(行政手引20105

 

 

 

➂【R7年出題】

 雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった場合、当該認可の翌日にその事業の雇用保険に係る保険関係が成立する。

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 ×

 暫定任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった場合、当該「認可があった日(当日)」にその事業の雇用保険に係る保険関係が成立します。

(徴収法附則第2条)

 

 

④【R7年出題】

 常時10人の労働者を雇用する動物の飼育の事業を行う個人経営事業所が、労働者の退職により労働者数が5人未満となった場合、事業の性質上速やかに補充を要し、事業の規模からみて5人未満の状態が一時的であっても、雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業となる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 「労働者の退職等により労働者の数が5人未満となった場合であっても、事業の性質上速やかに補充を要し、事業の規模等からみて5人未満の状態が一時的であると認められるときは、5人以上として取り扱う。」とされています。

 問題文の場合、5人未満の状態が一時的ですので、任意適用事業にはなりません。

(行政手引20105

 

 

 

⑤【R7年出題】

 1週間の所定労働時間が20時間以上である3人の労働者及び1週間の所定労働時間が20時間未満である5人の労働者を雇用する植物の植栽の事業を行う個人経営事業所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 ×

 「5人の計算に当たっては、法第6条第1号から第5号までに該当し法の適用を受けない労働者も含まれる。したがって、日雇労働者も含めて計算する。

 ただし、「法の適用を受けない労働者のみを雇用する事業主の事業については、その数のいかんにかかわらず、適用事業として取り扱う必要はない。」とされています。

 問題文の場合は、雇用保険の適用が除外される1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者も5人の計算に入ります。労働者数が8人ですので、暫定任意適用事業ではありません。

(行政手引20105

 

 

 

⑥【R4年出題】

 事業主が適用事業に該当する部門と暫定任意適用事業に該当する部門とを兼営する場合、それぞれの部門が独立した事業と認められるときであっても当該事業主の行う事業全体が適用事業となる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【R4年出題】 ×

 事業主が適用事業に該当する部門と暫定任意適用事業に該当する部門とを兼営している場合は、次によって取り扱われます。

・それぞれの部門が独立した事業と認められる場合は、適用部門のみが適用事業となる。

・一方が他方の一部門にすぎず、それぞれの部門が独立した事業と認められない場合であって、主たる業務が適用部門であるときは、当該事業主の行う事業全体が適用事業となる。

(行政手引20106

 問題文のように、それぞれの部門が独立した事業と認められるときは、適用部門のみが適用事業となります。

 

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