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社会保険労務士合格研究室

労働に関する一般常識「労働契約法」

R8-092 11.24

「労働契約法」判例からの問題を読んでみましょう

今回は、判例をみていきます。

<テーマ>

①配置転換について労働者の同意は必要かどうか?

②在籍出向で復帰を命ずるには労働者の同意が必要かどうか?

➂在籍出向の命令には労働者の同意が必要かどうか?

 

 

では、さっそく過去問を解いてみましょう

①【R7年出題】

 「労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないと解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

①【R7年出題】 〇

・労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合

・使用者は、労働者の個別的同意なしに合意に反する配置転換を命ずる権限を有しない

と解されます。

(滋賀県社会福祉協議会事件 令和6.4.26最二小)

 

 

 

②【R7年出題】

 「労働者が使用者(出向元)との間の雇用契約に基づく従業員たる身分を保有しながら第三者(出向先)の指揮監督の下に労務を提供するという形態の出向(いわゆる在籍出向)が命じられた場合において、その後出向元が、出向先の同意を得た上、右出向関係を解消して労働者に対し復帰を命ずるについては、原則として当該労働者の同意を得る必要があるものと解すべきである。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 ×

 使用者が労働者に対し、雇用契約上の身分を保有させながら第三者の指揮監督の下に労務を提供させる形態のいわゆる在籍出向を命じている場合に、右出向関係を解消して復帰を命ずるためには、特段の事由のない限り、「当該労働者の同意を得ることを必要としない。」とされています。

※「労働者が出向元の指揮監督の下に労務を提供するという当初の雇用契約における合意自体には何らの変容を及ぼさず、右合意の存在を前提とした上で、一時的に出向先の指揮監督の下に労務を提供する関係となっていたにすぎないものというべきであるからである。」とされています。

(古河電気工業事件 昭和60.4.5最二小)

 

 

 

➂【H28年出題】

 いわゆる在籍出向においては、就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定があり、さらに、労働協約に社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金その他の労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられているという事情の下であっても、使用者は、当該労働者の個別的同意を得ることなしに出向命令を発することができないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】 

➂【H28年出題】 ×

 「在籍出向」においては、就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定があり、さらに、労働協約に社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金その他の労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられているという事情の下においては、使用者は、当該労働者に対し、「個別的同意を得ることなし」に出向命令を発することができるとされています。

(新日本製鐵事件 平成15.4.18最二小)

 

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