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(令和3年出題より)過去問から学ぶ厚生年金保険法 

R4-090

R3.11.20 老齢厚生年金の繰下げと遡及の選択

令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。

 

今日は「老齢厚生年金の繰下げと遡及の選択」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問9E

 昭和28410日生まれの女性は、65歳から老齢基礎年金を受給し、老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する予定でいたが、配偶者が死亡したことにより、女性が68歳の時に遺族厚生年金の受給権を取得した。この場合、68歳で老齢厚生年金の繰下げの申出をせずに、65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給することができる。また、遺族厚生年金の受給権を取得してからは、その老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問9E】 〇

 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げはそれぞれ選択できます(同時に繰下げなくてもいい) 

 問題文のように、「65歳から老齢基礎年金を受給」し、「老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する」選択も可能です。

 

66歳に達した日後に他の年金を受ける権利ができた場合の選択肢は2つ

①他の年金が発生した時点の繰下げ増額率で、繰下げの老齢厚生年金を受給する

②65歳からの本来の老齢厚生年金を遡って請求する

 問題文のように、68歳で遺族厚生年金の受給権を取得した場合、②を選択し、「65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給すること」ができます。この場合は、繰下げによる増額はありません。

 

遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整

 遺族厚生年金の受給権者が65歳以上で老齢厚生年金の受給権がある場合は、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。

 遺族厚生年金の額が、老齢厚生年金より多い場合は、差額の遺族厚生年金が支給されます。

 問題文のように、「老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給すること」ができます。

 遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整は、こちらの記事で解説しています。

こちら→ R3.11.18 遺族厚生年金の額の計算

 

(法第44条の3)

 

 

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②【H26年出題】

65歳で老齢厚生年金の受給権を取得したが請求していなかった者が、67歳になったときに遺族厚生年金の受給権者となった場合、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることはできず、65歳の時点に遡って老齢厚生年金が支給される。

 

 

③【H28年出題】

 平成1941日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者の支給繰下げの申出は、必ずしも老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行うことを要しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

②【H26年出題】 ×

 67歳になったときに遺族厚生年金の受給権者となっても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。

 その場合、繰下げ増額率は、遺族厚生年金の受給権ができた時点で計算されます。

 なお、65歳の時点に遡って老齢厚生年金を請求することもできます。

(法第44条の3)

 

 

③【H28年出題】 〇

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出と、老齢基礎年金の支給繰下げの申出は、それぞれ別にすることができます。

(法第44条の3)

 なお、支給繰上げについては、老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければなりません。

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