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社会保険労務士合格研究室

「最初の一歩⑮」条文の読み方(厚生年金保険法)

R4-115

R3.12.15 専門用語に慣れましょう「被保険者期間を有する」(厚年編)

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では、第42条を読んでみましょう。

第42条 

 老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときに、その者に支給する。

1 65歳以上であること。

2 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること。

 

 第42条では、老齢厚生年金の支給要件を3つ定めています。

1 被保険者期間を有すること

2 65歳以上

3 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上あること

 

1について

 「被保険者」とは「厚生年金保険の被保険者」のこと、そして「被保険者期間」とは厚生年金保険の被保険者期間です。

 被保険者期間は月単位で算定され、最短で1か月です。「被保険者期間を有する」とは、1か月でも厚生年金保険の被保険者期間を有する、という意味です。

 

2について

 老齢厚生年金の受給権は、65歳に達する日(65歳の誕生日の前日)に受給権が発生します。

 

3について

 老齢基礎年金の受給資格を満たしていることという意味です。(合算対象期間も合算できます。)老齢厚生年金は、老齢基礎年金の上乗せですので、まず、老齢基礎年金の受給要件を満たしていることが前提です。

 

 

 例えば、保険料納付済期間が10年(第1号被保険者としての期間が911か月、厚生年金保険の被保険者期間が1か月)の場合、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給できます。

 老齢基礎年金の計算式は、「780,900円×改定率×480分の120」で、老齢厚生年金は1か月の被保険者期間をベースに計算されます。

 

では、過去問を解いてみましょう

 

①【H24年出題】

 老齢厚生年金の受給資格要件を満たす65歳以上の者が老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上必要であり、同要件を満たす60歳以上65歳未満の者が特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、当該被保険者期間が1年以上必要である。

 

 

②【H30年出題】

 特別支給の老齢厚生年金の受給権者(第1号厚生年金被保険者期間のみを有する者とする。)が65歳に達し、65歳から支給される老齢厚生年金の裁定を受けようとする場合は、新たに老齢厚生年金に係る裁定の請求書を日本年金機構に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇

65歳以上から支給される本来の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1か月でもあれば支給されますが、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることが要件です。

(法第42条、法附則第8条)

 

 

②【H30年出題】 

 65歳からの老齢厚生年金と、特別支給の老齢厚生年金は「別物」です。

 特別支給の老齢厚生年金を受けていた場合でも、65歳から支給される老齢厚生年金を受けようとする場合は、改めて、老齢厚生年金に係る裁定の請求書を提出しなければなりません。

(施行規則第30条の2

 

 

 

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③【H30年出題】

 老齢基礎年金を受給している66歳の者が、平成3041日に被保険者の資格を取得し、同月20日に喪失した(同月に更に被保険者の資格を取得していないものとする。)。当該期間以外に被保険者期間を有しない場合、老齢厚生年金は支給されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 ×

 問題文の場合、老齢厚生年金が支給されます。

65歳時点で厚生年金保険の被保険者期間を有していなくても、その後に被保険者期間を1か月でも有した場合は、老齢厚生年金の受給要件を満たしますので、老齢厚生年金が支給されます。

 

ポイント

 「平成3041日に被保険者の資格を取得し、同月20日に喪失した」場合、厚生年金保険の被保険期間は1か月となります。(同月得喪といいます。)

 法第19条で、「被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。」と規定されている部分です。

 ただし、「その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法の第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。」という例外があります。

 問題文の場合は、「同月に更に被保険者の資格を取得していない」とありますので、1か月の被保険者期間として算定されます。

 しかし、例えば、

■令和3年12月1日入社(厚生年金保険の資格取得)

        ↓

■同年12月20日退職

        ↓

■同年12月21日 厚生年金保険資格喪失・国民年金の第1号被保険者になった

 このような場合、12月は厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。

 

 そしてもう一つのパターンとして、令和3121日に資格取得、同年1220日付で退職し、12月中に別の会社に就職し厚生年金保険の被保険者となった場合は、後の会社の資格で厚生年金保険の被保険者期間が算定されます。

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