合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!健康保険法

R4-161

R4.1.30 法人の役員である被保険者又はその被扶養者の保険給付の特例

 健康保険法の保険給付は、「業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産」に関して行われます。

 「業務災害以外の」がポイントです。

 例えば、被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合、労働者でないため労災保険法の業務災害にはなりません。そのような労災保険の給付の対象にならない負傷は、原則として健康保険の給付が受けられます。

 

 では、例えば社長が業務中に負傷した場合はどうでしょう?

 社長の場合、特別加入していなければ労災保険の給付は受けられません。健康保険の目的条文をそのまま適用すると、「労災保険法の業務災害以外の負傷」ということで健康保険の保険給付の対象になってしまいます。

 しかし、社長は業務災害については補償責任を負う立場です。また、健康保険の保険料は労使折半です。そのため、社長の業務上の負傷等について健康保険から保険給付を行うのは適当でないということから、健康保険の給付は行わないことになっています。

 

★条文を読んでみましょう。

52条の2 (法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)

 被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない

 

則第52条の2(法第53条の2の厚生労働省令で定める業務)

 法第53条の2の厚生労働省令で定める業務は、当該法人における従業員(同条に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとする。

 法人の役人については、原則として、その法人の役員としての業務に起因する疾病、負傷又は死亡については健康保険の保険給付は行われません。

 なお、法人の役員としての業務とは、法人の役員がその法人のために行う業務全般を指します。

 ただし、「法人の役員の業務」から「被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるもの」は除かれます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H28年出題】

 被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。 

 

 

②【H26年出題】

 被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務(当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるものに限る。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関しては、傷病手当金を含めて健康保険から保険給付が行われる。

 

 

③【H30年出題】

 被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者は、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となる場合があるが、当該法人における従業員(健康保険法第53条の2に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 労災保険の業務災害にならない請負業務中の負傷等については、原則として健康保険の給付が行われます。 

(法第1条、平成25.8.14事務連絡)

 

 

②【H26年出題】 〇

法人の役人については、原則として、その法人の役員としての業務に起因する負傷等については健康保険の保険給付は行われません。

しかし、例外で、被保険者が5人未満の適用事業所の法人の役員については、業務遂行の過程で業務に起因して生じた傷病についても健康保険の保険給付の対象になります。

傷病手当金も支給されます。

(平成25.8.14事務連絡)

 

 

③【H30年出題】 〇

健康保険の給付対象となる業務は、「当該法人における従業員(同条に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるもの」と定められています。(則第52条の2)

役員の業務内容が当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められない場合には健康保険の給付対象になりません。

(平成25.8.14事務連絡)

社労士受験のあれこれ