合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!厚生年金保険法

R4-183

R4.2.21 遺族厚生年金・配偶者と子の支給調整

 遺族厚生年金の支給順位では、配偶者と子は同順位です。配偶者と子が両方受給権者になったときの調整方法が今日のテーマです。

 

では、条文を見てみましょう。

66条 

子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。

 配偶者と子が受給権者になった場合、配偶者に遺族厚生年金を支給し、子の遺族厚生年金は支給停止になるのが原則です。

 例外的に、配偶者の遺族厚生年金が第65条の2(夫、父母、祖父母の支給停止)、第66条第2項(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しないとき)、第67条(所在不明のときの支給停止)の規定で支給停止されている場合は、子に支給されます。

※「第66条第2項(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しないとき)」は次回お話しします。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 遺族厚生年金の遺族の順位において、配偶者と子は同順位であるが、配偶者が妻(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、妻に遺族厚生年金を支給する間、子(所在不明によりその支給が停止されている場合を除く。以下同じ。)の支給が停止され、配偶者が夫(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、子に遺族厚生年金を支給する間、夫の支給が停止される。

 

 

②【H26年出題】

 被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。この場合、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときであっても、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない。

 

 

③【H30年出題】

 被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。

 

 

④【R3年出題】

 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 最後の「子に遺族厚生年金を支給する間、夫の支給が停止される。」の部分が誤りです。 

 妻(遺族基礎年金の受給権を有する)に遺族族厚生年金を支給する間は、子の支給は停止されます。

 夫の場合も同じで、夫(遺族基礎年金の受給権を有する)に遺族厚生年金を支給する間は、子の支給が停止されます。

(法第66条)

 

②【H26年出題】 〇

 受給権者はその意思によって、年金の支給停止を申し出ることができます。

 問題文のように、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときでも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されません。

 国民年金法の「遺族基礎年金」との違いに注意してください。遺族基礎年金の場合は、配偶者が申し出ることによって、配偶者の遺族基礎年金が支給停止になっている場合は、子の遺族基礎年金は支給されます。

参考 → R4.2.17 遺族基礎年金の支給停止(その3 子に対する支給停止)

(法第66条)

 

③【H30年出題】 ×

 「子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。」が誤りです。

妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときでも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されません。

(法第66条)

 

 

④【R3年出題】 ×

 妻が、「障害基礎年金と障害厚生年金」を選択し、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」が全額支給停止になった場合でも、子の遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給停止は解除されず、支給停止のままです。

(法第66条)

社労士受験のあれこれ