合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

健康保険法

R4-217 

R4.3.27 資格喪失後の傷病手当金と老齢退職年金給付

 資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けることができる者が、老齢退職年金給付の支給を受けることができる場合は、どちらが優先されるでしょう?

 

 では、条文を読んでみましょう。

第108条第5項

 傷病手当金の支給を受けるべき者(資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けることができる者に限る。)が、老齢退職年金給付の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない

 ただし、その受けることができる老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が2以上あるときは、当該2以上の老齢退職年金給付の額の合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する

 

則第89条第2項

 法第108条第5項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した額は、同項に規定する者の受けるべき老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が2以上あるときは、当該2以上の老齢退職年金給付の額の合算額)を360で除して得た額(その額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額)とする。

 

 資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けることができる者が、老齢退職年金給付の支給を受けることができるときは、傷病手当金は支給されません。老齢退職年金給付が優先されます。

 ただし、老齢退職年金給付の額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。

 なお、傷病手当金の額は「日単位」ですが、年金の額は「年単位」です。老齢退職年金給付は360で割った日額で傷病手当金と比較します。365ではありませんので注意してください。

 老齢退職年金給付÷360が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 被保険者資格を喪失後に傷病手当金の継続給付を受給している者が、老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるもの(以下「老齢退職年金給付」という。)の支給を受けることができるとき、老齢退職年金給付は支給されない。

 

 

②【H27年出題】

 適用事業所に使用される被保険者が傷病手当金を受けるときには、老齢基礎年金及び老齢厚生年金との調整は行われない。

 

 

③【H17年出題】

 適用事業所に使用される常勤職員であって傷病手当金の支給を受けることができる者が、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合算額を360で除して得た額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給される。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

【解答】

①【H23年出題】 ×

 老齢退職年金給付が優先されますので、「傷病手当金は支給されない」となります。

 

 

②【H27年出題】 〇

 傷病手当金と老齢退職年金給付が調整されるのは、「資格喪失後の継続給付の傷病手当金」の場合です。退職していることが前提です。

 問題文は、「適用事業所に使用される被保険者」です。在職中の傷病手当金は、老齢基礎年金及び老齢厚生年金との調整は行われません。

 

 

③【H17年出題】 ×

 ②と同様に、③も「適用事業所に使用される常勤職員」ですので、「傷病手当金」と「老齢基礎年金・老齢厚生年金」の調整は行われません。

社労士受験のあれこれ